関節治療の専門医に聞いてみました!

第11回 歩けない。外にも出られない。
手遅れになる前にまずは受診を!

ドクター
プロフィール
日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会認定リウマチ医、日本整形外科学会認定スポーツ医、
日本リウマチ学会専門医、日本リハビリテーション医学会認定臨床医
エリア 岡山県タグ
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井上 淳 先生

膝が痛いと気づいているあなた。
家族の歩き方が気になるあなた。
シニア世代にとって、「膝の痛み」は決して他人ごとではありません。
歩くのがつらくなる前に気をつけることとは?痛みを感じた時の対応は?
そして、痛みで歩けなくなる前に受ける手術とは?
気になるその膝の痛みについて、津山中央病院の井上淳先生にお話を伺いました。

シニア世代の「膝の痛み」の原因について教えてください。

変形性膝関節症のX線写真

膝の痛みの原因の多くは変形性膝関節症です。統計では60歳で3割、70歳で4割から5割、それが80歳を越えると8割の方が膝関節症だと言われています。ところが、実際に病院に来られる患者さんは決して多くはありません。中には、無理を重ねて足腰を弱らせ、最後に転倒して救急車で運ばれて来るという方もいるのが事実です。
病院で治療を受けない原因としては、まず治療に痛みを伴うと思われていることがあげられます。また、当院の付近には農業をされている方が多いこともあり、農作業の手が放せないので、病院には行かない方もおられます。その他、夫婦共に高齢で、介護が必要な配偶者を残して病院に行きにくいという場合もあります。このような理由から、どうしても無理を重ねてしまうようです。
変形性膝関節症の主な原因は肥満です。特に女性の肥満は要注意です。膝関節の場合、軟骨の部分がクッションの役目を担っているのですが、60歳くらいになるとこの部分が変形を起こす方がおられます。体重が重ければ重いほど、膝の曲げ伸ばしに強い力がかかり、どうしても通常の場合より痛みが早く出るのです。
また、骨壊死も「膝の痛み」の原因として考えられます。骨壊死の原因としては、ステロイドの大量長期使用が考えられます。長期でステロイドを投与すると、年齢が若いにも関わらず骨壊死になる可能性が高いようです。心当たりがある方は、MRI検査を受けられるとよいでしょう。その他、膝の骨折、靱帯損傷の可能性もあります。若いときに骨折したことが原因で、変形融合し10年後に痛みが強くなり病院へ、という方もおられます。さらに、膝が痛くてもその原因が腰にある場合もあります。痛みを感じたら、まずは、近くの病院で原因を確かめましょう。。


痛みを感じても、我慢している方が結構多いようです。

痛みの感じ方は、一人一人違います。肥満の度合いや筋力の弱さなどで症状は異なってきます。筋力が弱くなると、関節に悪影響を及ぼすケースも多くあります。高齢者の場合、足腰が弱くなり少々痛みを訴えても、本人も周囲も、年だから仕方がないと思っておられる方が多くおられます。ただ、そのまま放っておくと症状が悪化し、転倒して骨折してしまうなど、最悪の事態を招きかねません。少しでも痛みや違和感を覚えた場合は、まずは診察を受けて、痛みの原因は何なのか、予防するにはどうしたらよいのか、症状を緩和させるためにはどうしたらよいのかなど、早めに専門医の話を聞いた方がよいでしょう。
若い方の場合は、痛みの根本的な原因が筋力の弱さにある場合が多くあります。このように診断された場合は、まずはリハビリに取り組んでください。リハビリは、筋力をつけるために必要です。若い方ほど手術を望む方が多いのですが、いくら耐用期間が長くなったとはいえ、人工関節には寿命がありますので、できれば少し年齢を重ねてから手術を受けられた方がよいでしょう。


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