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専門医インタビュー

人工膝関節手術の進化 ~コンピューター計画と耐久性の向上、痛み対策の充実~

この記事の専門医

付岡 正 先生

千葉県

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1994年に金沢大学卒業後、千葉大学整形外科入局。2000年 千葉大学大学院入学(2004年 医学博士取得)、2009年より千葉リハビリテーションセンター勤務。
日本整形外科学会専門医、日本リウマチ学会評議員/専門医、日本人工関節学会評議員、日本股関節学会、日本関節病学会、日本リハビリテーション医学会、Orthopaedic Research Society(米国整形外科基礎学会)active member(正会員)

この記事の目次

意識して膝を曲げ伸ばしする運動を

リハビリを頑張った人が曲がるようになります

リハビリを頑張った人が曲がるようになります

1-2週で退院する病院も多いですが、私の施設はリハビリセンターということもあり、術後3週間のリハビリ入院を基本としており、中には延長される方もいます。日常生活動作訓練、生活環境改善の助言、利用可能な介護サービスの情報提供など、実生活にスムースに復帰できるように理学療法士をはじめ、作業療法士、栄養士、薬剤師、ケースワーカー、看護師がチームとしてお手伝いします。退院後に転倒して骨折などしない為にも、自宅の生活環境は見直しておく必要があります。
膝が十分に曲がるようになってから退院しますが、中には家に戻ってから曲がりが悪くなる方がいます。膝の曲げ伸ばしの訓練を週1-2回の外来リハビリの時だけしかしなかった方です。手術後半年から1年は、ご家庭で意識して膝の曲げ伸ばしの訓練を続けると膝の曲りが良くなります。

地中海クルーズに参加した80代の方も

術後の運動についてですが、基本的に飛び跳ねる運動は勧められません。すなわちジャンプやランニングなどです。テニスのダブルス、ゴルフ(スパイクシューズは着用しないで下さい)、水泳は勧められるスポーツです。膝痛のために断念していたことを実現された方も大勢います。
例えば、両膝の人工関節をされた80代の男性は地中海クルーズに参加されました。膝痛もなく、非常にエンジョイできたと笑顔いっぱいでお話されるのをお聞きしてこちらも嬉しくなりました。
また、両膝の人工関節をされた肥満のある70代の女性は手術2週間前に入院して、厳密な食事管理とリハビリを行う術前ダイエットプログラムに参加して頂き、減量に成功されました。膝痛とO脚が無くなった上、持病の糖尿病や高血圧の数値も改善して、人生が本当に変わったと涙を浮かべながら喜んでいただきました。

現在、膝関節の痛みに悩んでいる方へ、先生から一言お願いします

付岡 正 先生

膝の痛みがあると人生を楽しむことが難しくなります。痛みとストレスでうつ状態になる方も多くなります。膝が痛くて日常生活に困っている方、膝だけ悪いために活動的な生活ができない方にとって、人工膝関節は劇的な変化をもたらします。手術は敷居が高いですが、手術をしてしまえば定期的な注射も必要なくなり、まっすぐな痛みのない足が取り戻せます。
手術をするにもタイミングが必要です。例えば、80代前半で片方の膝の手術をしたO脚の患者さんがいらっしゃいました。水がたまって毎週のように水を抜くことを繰り返していたため、数年後に反対側の人工膝関節手術を希望されましたが、心臓が悪くなってしまっていて、手術は内科の先生から止められてできませんでした。もっと早く、心臓が悪くなる前に手術をしておけばよかったと、患者さんは後悔されていらっしゃいました。
現在、日本では高齢化が進んでいます。平成29年の厚生労働省の統計では75歳の方は平均で女性16年、男性12年も人生が残っています。痛みのない足で長いこれからの人生を過ごせるように、今のご自分の状態にあった治療法を選択してください。




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