関節治療の専門医に聞いてみました!

第155回 性能も良くなり、耐久性もアップ、手技も進歩してきた 人工股関節置換術

ドクター
プロフィール
日本整形外科学会、日本股関節学会、日本臨床リウマチ学会、日本人工関節学会
エリア 長野県タグ
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関 一二三 先生

股関節の痛みのために、自由に動くことができない辛い毎日に悩んでいませんか?
いずれ人工股関節にしなくてはいけないと言われたけれど、手術は怖いし不安だという人へ、「手術によって失うものがあってはいけない」とおっしゃる長野赤十字病院の関一二三先生に、最近の人工股関節置換術を話してもらいました。

多いのは寛骨臼形成不全、痛みの原因を知ることが大事

正常な股関節と寛骨臼形成不全

正常な股関節と寛骨臼形成不全

変形性股関節症の原因として多いのが寛骨臼形成不全。もともと骨頭の大きさに対して股関節のかぶりが浅い人で、男性よりも女性に圧倒的に多くみられるのも特徴です。寛骨臼形成不全そのものに症状はないので、股関節が痛くなってから初めて寛骨臼形成不全があることがわかる場合も結構多いのです。また、乳児に見られる先天性股関節脱臼も寛骨臼形成不全の原因ですから、脱臼があった人は将来変形性股関節症を起こす可能性があると予測が付きます。
形成不全の程度や活動性などによって、いつ痛くなるかは人それぞれ。時々、何かをした後に痛くなるけれどすぐに良くなる…そういうことから始まって、昼間歩いている時は何ともないが、夜間に痛くなるという人もいらっしゃいます。
そのほかに、過去に股関節を骨折したことがある人や、幼少期に股関節にばい菌が入って化膿性股関節炎を起こしたことがある人も、その後に変形性股関節症になりやすいと言われています。さらに、関節リウマチや骨頭壊死などの疾患が原因で関節が変形破壊されてしまうケースもあります。
いずれにしても、股関節の痛みがどのような原因で起こっているのかを正しく調べて、適切な対応を取ることが大切です。

変形性股関節症の治療法は?若ければ骨切り術も選択肢の一つ

骨切り術

骨切り術

寛骨臼形成不全があるのであれば、股関節のかぶりを大きくする治療、骨切り術を選択します。骨切り術は、骨をいったん切り離してからかぶりを大きくする、いわばわざと骨折をさせる手術ですから、骨の強度が必要です。そのため以前は、人工股関節の耐久年数が10年程度といわれていましたから、60代以前の年齢の人が対象になっていました。
骨切り術は、自分の骨や軟骨をそのまま使え痛みを軽減できるのですが、リハビリに時間がかり、後々関節が変形し人工股関節に置き換えてしまわないといけない場合もあります。また20代、30代で骨切り術をした後、何年かたってから人工股関節置換術を行う場合、難しい手術になることもあります。

変形性股関節症の最終的な治療法は人工股関節置換術

人工股関節置換術

人工股関節置換術

他の手術方法として、人工股関節置換術があります。人工股関節は何といっても痛みが確実に取れ、手術後の経過も楽、骨切り術に比べるとリハビリに要する時間も短くてすむのです。
人工股関節置換術は、変形して痛みの元凶と化した股関節を削り取って、代わりとなる金属やポリエチレンなど人工のものに置き換える治療法です。
以前の人工股関節は、軟骨の代わりとなるポリエチレンが比較的早く擦り切れ、その削りかすがたまり、人工関節の緩みが生じる問題などで、耐用年数が約10年といわれてきました。しかし最近の人工関節は、このポリエチレンなどの改良で、人工関節そのものの性能が飛躍的に向上した結果、耐用年数が大幅に向上しており、また、手術方法も飛躍的に進歩しています。


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