関節治療の専門医に聞いてみました!

第159回 関節の変形がひどくなる前に専門医に相談を人工膝関節も選択肢の一つ

  • 丸山 善弘 先生
  • 明石大久保病院 明石大久保人工関節センター長
    明舞中央病院 整形外科 人工関節専任医師
ドクター
プロフィール
専門領域:関節外科(下肢〈特に膝関節・股関節〉)、日本整形外科学会 認定専門医
エリア 兵庫県タグ
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丸山 善弘 先生

動き始める時に膝が痛い、階段の上り下りがつらいからと家の中に閉じこもっていませんか? 膝の痛みを抱えながらも、これからの人生を自分らしく自由に生き生きと過ごすことができるように、専門医・丸山善弘先生が適切なアドバイスをします。

体質的なもの、体重過多などに加えて加齢的な変成が主な原因?

変形性膝関節症のレントゲン

変形性膝関節症のレントゲン

膝関節の変形は、誰にでも起こる可能性がある加齢に伴う変化です。膝関節でクッションの役割をしている軟骨がすり減り、骨と骨の隙間が狭くなり直接ぶつかって痛みを生じる変形性膝関節症を患っている人が多くいらっしゃいます。特にO脚傾向の人は、膝の内側にばかり体重がかかるために痛みが生じやすいと思われます。しかし痩せている人でも膝痛は起こることもあるし、見た目にはかなりO脚でさぞかし痛いだろうと思われても、本人は平気で動いている場合もあります。変形性膝関節症の原因は、まだはっきりしたことは分からないのですが、加齢に加えて遺伝や、骨粗しょう症、膝に負担がかかる姿勢での仕事を長年続けたり、軟骨や半月板の損傷など色々なことが原因と考えられています。
また変形性膝関節症は女性に多く見られ、閉経後の女性ホルモンの減少なども関係があるのかもしれないという説もあります。
その他に骨への血流が途絶えてしまって膝が痛くなるという、骨壊死という疾患が原因の場合もあります。

変形性膝関節症の治療法は?

大腿四頭筋が衰えないようなトレーニング

大腿四頭筋が衰えないような
トレーニング

レントゲンを撮って、まだ軟骨が残っているような場合は、筋力を落とさずに体重を落とす理学療法が中心となります。体重は3~5Kg落とした方が良いとも言われていますが、理学療法に並行して湿布薬、消炎鎮痛剤の内服を行い、痛みを和らげながら治療を行います。具体的には、膝関節を守る筋肉、主に大腿四頭筋が衰えないようなトレーニングをしてもらいます。自宅で、椅子に座ったまま膝を伸ばしてギュッと力を数秒入れるだけでも構わないので続けてみてください。こうやって膝周囲、特に太ももの前側の筋肉をつけることで痛みが軽くなることもあります。できることは人によって違いますが、水泳やスポーツジム的なものも利用し痛くない範囲で運動し、筋力を維持しながら体重を落とすのです。
>患者さんと相談しながら、様々な治療法の中から、患者さんの状態に合わせたものを選択していきます。例えば、痛み止めの薬はあまり飲みたくないから、それよりもヒアルロン酸の関節注射をしたほうがいいと言う人もいます。しかしヒアルロン酸の注射をしてもあまり効果がなければ、続けていても意味がありません。患者さんの希望には出来るだけ沿える治療を行うよう心掛けていますが、医学的な見地から適切なアドバイスを行い、経過を観察した上で痛みが取れない、だんだん状態が悪くなるようなら、次の手を考えます。

骨切り術と人工膝関節とは?

人工膝関節(全置換)の一例

人工膝関節(全置換)の一例

傷んでいる膝の軟骨や骨を取り除き、代わりに金属やポリエチレンなど人工のものに置き換えるのが人工膝関節置換術です。人工膝関節置換術は、年間に8万件以上行われており、国内の高齢化にともない、ここ10年ほどで倍以上に症例が増えてきています。手術は基本的には全身麻酔で行い、膝の後ろ側には大事な神経や血管がたくさん通っていますから、それらを傷付けないように保護する道具を使い、骨を切っていき人工膝関節を設置します。
以前は、人工関節の耐用年数が10年程度といわれていたので、比較的若く、関節の変形が軽い場合には、人工膝関節ではなく骨切り術を行うこともありました。体重が膝の一部分だけにかかり過ぎないように、骨を切って関節の形を調整する手術です。人工関節と比べると長期のリハビリが必要になります。
現在は、多少若くても必要なら、人工膝関節置換術を行うケースが多いと思います。人工膝関節の材質の性能が良くなって耐用年数は20年で90%以上というデータが出ていますし、以前に比べると手術の技術も上がっています。人工膝関節置換術の成績はとても良くなっているのです。


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