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専門医インタビュー

股関節の痛み一緒に考えましょう 自分でできること手術のタイミング

この記事の専門医

小林 聡 先生
  • 小林 聡 先生
  • 東芝林間病院 整形外科医長 人工関節センター長
  • 042-742-3577

神奈川県

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1996年山梨大学卒
資格:日本整形外科学会専門医 日本整形外科学会認定リウマチ医

この記事の目次

人工股関節置換術を受ける目安を教えて下さい?

変形性膝関節症のレントゲン

変形性膝関節症の
レントゲン

関節の痛みが取れないと、たいていの人は自分自身で活動範囲を狭めていきます。動かなければ股関節の痛みも感じないからです。でも動かないと筋力はどんどん減っていきます。家の中か、あるいはごく近所だけの世界に留まることになるでしょう。これを改善するのが人工股関節置換術です。
レントゲン上で軟骨がすり減ってなくなってしまっている点や、日常生活の状況を聞き手術を勧めることがあります。
日常生活の状況を確認するために、患者さんに「これまで行けていた自宅から30分離れた店まで歩いて買い物に行けますか?」と質問しています。その際、「歩いて行くのは難しくなったので、車や自転車で行くようになりました」と答えられる場合。
もう一つが、日本整形外科学会(JOA)が制定している「JOAスコア」を用い、身体機能の判定をしています。これは、痛みや可動域、歩行能力、日常生活動作などに対して、例えば「台所での立ち仕事はつらい」などといったかなり細かくて具体的な質問項目に応じて点数をつけていきます。
軟骨の状態、日常生活の状況とJOAスコアが60点を下回れば、手術を考える一つの目安だと考えています。

患者さんにお願いすることは何ですか?

末期の変形性股関節症で、すっかり軟骨がなくなってしまった人でも、積極的に「手術をします」という人ばかりではありません。頭では納得していても不安があり、絶対に手術は嫌だという人もいますし、人工関節のことがよくわからないという人もいますから、冊子をお渡して丁寧に説明します。
人工股関節置換術で、若い頃のように股関節が元通りになることはないけれど痛みは取れます。
でも、手術さえすれば、期待通りにすべてハッピーとならない場合もあります。手術前に股関節が固まって動きが悪くなっていたり、筋力がなくなってしまってからだと期待通りに股関節が動かせないことがあります。そのため、筋力が残り動ける間に手術をしたほうが満足度は高いと思います。
時間が経てば、左右の股関節のどっちを手術したのかわからなくなるくらいに馴染んでしまう人も2割ぐらいいます。そうなるためにはある程度の術後の努力が必要なのです。手術を決心した患者さんに、一つだけお願いしていることがあります。それは、「痛みが取れたら何をしたいかやりたいことを一つ考えましょう」ということ。海外旅行に行きたいとか、ゴルフをしたいとか、何でもいいので目標を決め手術に臨んでください。

手術前には何をされますか?

手書きの術前計画

手書きの術前計画

手術を行う前に、患者さんの股関節周辺のレントゲン写真をトレースして、どの位置に、どういう方向から、どんなサイズの人工股関節を入れるかなどの設計図を作っています。パソコンソフトを使って行うドクターが多いのかもしれませんが、手書きで書き入れていく方法で設計図を作っています。
大腿骨頭から骨軸までの開き具合(オフセット)を考え、ミリ単位で予測を立てていき、その人の形に合わせた機種を選びます。この手術前の作図が大事です。
手術は、横向きの姿勢で行います。そのため、患者さんは手術の間寝ていること(全身麻酔)が多いです。アプローチは、後側方で行います。その時間は、1時間から1時間半。手術前の計画に沿って、丁寧にその方にあった最善の方法で行っています。


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