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専門医インタビュー

膝関節の進行状態を正確に把握し納得した上で適切な治療法を選択しよう

この記事の専門医

髙木 徹 先生
  • 髙木 徹 先生
  • 岡山赤十字病院 リウマチ関節外科部長(兼)リハビリテーション科副部長(兼)人工関節センター長
  • 086-222-8811

岡山県

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専門領域:関節外科、外傷一般、小児整形外科
資格:日本整形外科学会専門医、日本リウマチ学会専門医、日本整形外科学会運動器リハビリテーション医、日本リハビリテーション医学会認定臨床医、日本整形外科学会リウマチ医

この記事の目次

人工膝関節単顆型置換術と高位脛骨骨切り術の適応の違いを教えてください

高位脛骨骨切り術後の
	レントゲン

高位脛骨骨切り術後の
レントゲン

人工膝関節単顆型置換術後のレントゲン

人工膝関節単顆型置換術後
のレントゲン

変形が比較的軽度で、膝の片側だけが悪い、というのが両方の手術の原則的な前提です。その上で、高位脛骨骨切り術は60代までの比較的若い方に行っています。骨切り術は入院期間が4週間~5週間と回復までに少し時間がかかりますが、術後の経過が順調であれば、最終的に変形性膝関節症の治癒につながるケースも少なくありません。
一方、人工膝関節単顆型置換術は、術中・術後の出血量も少なく、非常に低侵襲な手術なので、高齢者に向いていると思います。当院では、全身状態に問題がなければ人工膝関節置換術に年齢制限は設けていません。人工膝関節全置換術を行った最高齢は93歳です。しかし、高齢になると全置換術では身体への負担が大きいという方も出てきます。そういう方にこそ、単顆型が適しているといえるでしょう。当院では、高齢者に限っては、外側がある程度傷んでいても人工膝関節単顆型置換術を行っています。入院期間は全置換も単顆型も約3週間のプログラムを組んでいますが、やはり単顆型の方が1週間程度は回復が早いようです。

人工膝関節置換術はどういった流れで行われるのですか?

人工膝関節全置換術後のレントゲン

人工膝関節全置換術後の
レントゲン

術前から術後への可動域の変化を確認するために、手術前日に入院し、理学療法士によるチェックを受けてもらいます。理学療法士が術前の状態を把握することで、術後のリハビリを患者さん一人ひとりに適切な方法で、スムーズに行うことができます。
手術は、正確な角度で人工膝関節を設置し、患者さんのMikuliczline(下肢機能軸)を正常な値に戻すことを一番に考え、手術時間は全置換で約75分、単顆型で約70分です。傷口を開けている時間が短ければ、感染症リスクの減少や術後出血の軽減につながりますので、手術時間の短縮は重要だと考えています。
麻酔科医の協力のもと、大腿神経ブロックやカクテル療法(傷口を閉じる前に関節周辺の組織に消炎鎮痛剤やステロイド剤などの薬物を直接注射する方法)を実施することで、術後の疼痛はほぼコントロールすることができます。

術後のリハビリから退院までの流れを教えてください

術後2日間は膝の持続冷却装置を使用し、腫れや出血を抑制します。それと並行して、手術翌日には理学療法士の指導のもと、部屋で端座位や立つ練習を開始。問題がなければ、術後2日目からはリハビリ室に移動し、平行棒を使って立つ練習を始めます。術前の膝の状態や年齢にもよりますが、早い人では、術後1週間で1本杖を使って自立して歩けるようになります。3週間のプログラムを終える頃には、ほとんどの人が1本杖での歩行や階段昇降といった日常生活動作ができるようになって、退院となります。「もう一度自分の脚で歩きたい」という強い気持ちを持って手術を受けられた方は、リハビリにも前向きに取り組まれるので、回復も早いですね。
中にはご高齢で、リハビリが思うように進まない方もいらっしゃいますので、その場合は、回復期専門病院をご紹介して、リハビリを続けていただくこともあります。


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