関節治療の専門医に聞いてみました!

第190回 人工関節は選択肢の一つ。医師と患者が一緒に治療方針を決めていく時代です

ドクター
プロフィール
資格:日本整形外科学会専門医
エリア 愛知県タグ
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吉田 昌弘 先生

膝痛の原因で最も多い変形性膝関節症。しかし、原因は様々で、治療法も複数あります。吉田先生は、医師と患者さんが同じ情報を共有して、一緒に治療方針を決めていくことで、治療の満足度が得られると話します。数ある治療法の中でも痛みの改善が期待できるといわれている人工膝関節置換術を中心に、治療法・リハビリについて伺いました。

中高年の膝痛の原因は何ですか?

骨壊死

骨壊死

中高年の膝の痛みは、関節リウマチなどの病気を始め、様々な原因で起こります。40代くらいの人の膝の痛みは、膝関節の中でクッションのような役割をする半月板の傷みが原因で起こることも少なくありません。また、骨壊死が原因で突然、激しい膝痛が起こることもあります。60代、70代以上になると、膝痛の原因は圧倒的に変形性膝関節症であることが多く、最近は、健康寿命が伸びていることもあって私の患者さんでは90代の方で人工膝関節置換術を受けた方もいます。

変形性膝関節症の原因は、加齢ですか?

O脚と正常な脚

変形性膝関節症は、確かに加齢に伴って起きるのですが、特に、O脚、肥満、太もも の大腿四頭筋の筋力が落ちている人は発症しやすいといわれています。
さらに、変形性膝関節症は、男性よりも女性のほうが圧倒的に多いのです。それは、女性にはO脚気味の人が多いことに加えて、股関節の骨盤側の受け皿部分の形状が小さすぎる「臼蓋形成不全」の人が多いことも関係していると考えられます。変形性膝関節症を発症した原因が股関節にあることも少なくないのです。

変形性膝関節症はどのように診断するのでしょうか。

変形性膝関節症のレントゲンとMRI画像

変形性膝関節症のレントゲンとMRI画像

当院の場合は、まず立った状態で股関節から足首まで下半身全体のレントゲン撮影をし、膝関節の変形度合いを確認します。そして、膝を触診して、痛みを感じる部位とレントゲンの変形部位が一致しているかどうかを確認します。
さらに、患者立脚型の評価方式を使って、今の自分の膝でどのくらい困っているかということを患者さんに確認します。例えば、膝の痛みは立ち上がるときにあるのか、安静にしているときにあるのか、階段の登り降りでどのくらい困っているのかなどについて患者さんに答えてもらうわけです。例えば、歩行時にはあまり痛まず、安静時の痛みが中心だという場合、膝ではなく腰の疾患が隠れていることがあります。レントゲン画像と触診で確認できる疾患部位と患者さんの症状の訴えが一致するかどうかも含めて、本当に膝関節の症状なのかどうかを見極め、診断していきます。

変形性膝関節症の治療について教えてください

ヒアルロン酸注射

ヒアルロン酸注射

変形性膝関節症の治療には、大きく保存療法と手術療法があります。まずは、保存療法として、肥満の人は体重コントロールが必要です。大腿四頭筋を中心とした筋力トレーニングや食事の工夫で体重を減らしてもらい、同時にヒアルロン酸注射などの薬物療法で膝の痛みの改善に取り組みます。それでもなかなか症状が改善せず、膝の痛みで生活に不便が生じている場合は、手術療法を検討します。


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