関節治療の専門医に聞いてみました!

第22回 膝の痛み我慢しないで!
専門医に相談して、適切な治療で豊かな生活を

ドクター
プロフィール
奈良県立医科大学卒業。同大整形外科教室に入局。奈良県立三室病院整形外科、奈良県立奈良病院救命救急センターなどを経て現職に。ドイツ留学(ベルリン・ベーリング病院)をはじめアメリカ・タイなど、海外での研修実績も多数。
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「膝が痛む」「O脚になってきたかも」…。年齢を重ねるとともに、膝に関する悩みはつきないもの。
我慢強い日本人は、少しぐらいの痛みは我慢してしまいがちです。それが原因で症状をより悪化させてしまうことが多くあります。
いつまでも元気に過ごすために、膝の痛みを感じたらどのように対処するべきなのでしょうか。医真会八尾総合病院 整形外科 医長の奥田真義先生に話を聞きました。

「膝が痛む」という悩みをよく聞きます。原因となる疾患には、どのようなものがありますか?

膝の関節は、大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)、そして膝蓋骨(お皿)の3つの骨が組み合わさってできています。すねの骨の上を太ももの骨が滑り転がることで膝の曲げ伸ばしが可能になります。これらの骨の表面には、柔らかなクッションの役割を果たしてくれる軟骨があるのですが、毎日体重の負担を受けながら膝を動かすので、加齢とともに徐々にすり減ってしまいます。さらに軟骨の下の骨もすり減り、表面がでこぼこになって、滑らかに動かなくなることで炎症を起こし、膝に痛みが出てきます。これが「変形性膝関節症」です。
変形性膝関節症は女性に多く見られます。その原因の一つは骨粗しょう症。骨粗しょう症になると、骨が弱ってくるので、徐々に足が曲がりO脚になってきます。通常は膝の真ん中に体重がかかるのですが、O脚になると膝の内側に体重がかかります。そうすると内側の軟骨がすり減ってきて、痛みが生じるのです。

どのようなきっかけで受診をされる方が多いのでしょうか?
また、「変形性膝関節症」の治療方法を教えてください。

骨切り術 術後と抜釘後のX線
O脚に変形した脚の骨を切り、傾きを変えて金属で固定し
正常な脚の形に近づけます

日本人は、とにかく我慢しがちです。「少しぐらいの傷みなら…」と、接骨院やサプリメントに頼って、病院にはなかなか行きません。とことん我慢してから病院に来られるので、そのときには即「手術」ということもあります。早めに受診することで、治療の選択肢は広がります。「膝が痛いな」と思ったら、まず整形外科に、できれば膝の専門医を受診しましょう。
症状が軽いうちは、手術をせずに進行を遅らせたり、症状を緩和させたりする保存療法が可能です。方法としては、痛み止めなどの内服薬、ヒアルロン酸の関節内注射など、薬による治療や、足底板(外側が高くなっているくつの中敷)を使いO脚を補正することなどがあります。
運動療法もあります。膝が悪くなる理由の一つとして、加齢による筋肉量の低下があげられます。若いうちは筋肉で膝を支えることができますが、年をとると筋肉が落ちることで直接骨が体重を支えることになり、軟骨に負担がかかります。普段、膝にどれくらいの加重がかかっているか知っていますか? 実は、階段の上り下りや走るときには、体重の4倍から6倍の重さが膝にかかっています。膝にはそれだけの負担がかかるわけですから、高齢になればなるほどホームエクササイズ等で筋肉を鍛えることはとても大事になります。病院に来ていただければ、その方法なども説明してもらえます。
これらの方法で、多くの人の症状は緩和されます。しかし、改善されない場合は、膝付近の骨を矯正してO脚をなおす「骨切り術」、さらに症状が重い場合は「人工膝関節置換術」を行います。

「人工膝関節置換術」とは、どのような手術ですか? 

人工膝関節置換術の様子

「O脚がひどい」「軟骨がほとんどない」など、症状が重い場合は「人工膝関節置換術」を行います。これは、変形性膝関節症などによって変形した骨の損傷面を取り除き、代わりに人工関節に置き換えるというものです。欧米では、膝に痛みを感じる方の多くがこの手術を受けており、大変一般的なものになっています。
現在日本でも7万人を超える人が人工膝関節置換術を受けていますが、65歳以上の人の割合が高いです。人工関節の耐久年数は一般的に15~20年程度。近年は材質も性能もどんどん向上しており、30年くらいまで延びるのではないかともいわれています。ただ、あまり早く人工関節にすると、入れ替え手術をする可能性が出てきます。入れ替え手術は一回目の手術に比べ難しくなります。65歳以上であれば、入れ替え手術の可能性も高くないということがその理由です。
これまで手術をした方の年齢の平均は72~73歳、一番若い方で57歳、高齢の方で95歳でした。高齢だと手術に不安を感じる方もいらっしゃいます。しかし、手術をすることでご本人の生活の質(QOL:クオリティ オブ ライフ)を高めることができます。95歳の方も「自分の足で元気に歩きたい」という前向きな気持ちを持って、手術をうけられました。両膝の手術をうけられましたが、とても元気に歩いていらっしゃいます。 なお、人工膝関節置換術には公的医療保険が適用されますが、さらに高額療養費制度の対象にもなっています。

高額療養費制度については、こちらをご参照ください。

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