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専門医インタビュー

変形性股関節症は手術で治せる疾患です 10年・20年先の人生を考えて治療に向き合おう!

この記事の専門医

大阪府

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日本整形外科学会認定整形外科専門医、日本整形外科学会認定リウマチ医、
日本リウマチ学会認定リウマチ専門医

この記事の目次

人工股関節置換術にはMISという方法があると聞きました。

MISでは従来の約半分の傷口で
手術を行います

皮膚の切開(侵襲)をなるべく小さくし、患者さんにかかる身体的・心理的負担を軽減する手術法をMIS(最小侵襲手術)といいます。以前は「正確な手術を行うには十分な視野を確保することが重要」という考えから、従来の一般的な方法では皮膚を15cm~20cmくらい切開していました。当院では手術にナビゲーションを導入しており、大きく切開しなくても正確な手術が可能になっていますので、患者さんの体格にもよりますが、現在の傷口は7cm~10cmくらいです。MIS人工股関節置換術では皮膚や筋肉を切開する量が従来の半分で済みますので、術後の回復が早く、より早期の社会復帰が可能になります。ただし、人工股関節置換術の良好な長期成績や合併症リスクの軽減には、何といっても「正しい位置に設置できるかどうか」がたいへん重要です。傷口の小ささにこだわるあまり、インプラント設置の正確さを犠牲にすることはあってはなりません。侵襲を小さくすることと正しい位置に設置すること、両方が一番いいバランスで行えるように配慮することが大切です。手術時間は、ナビゲーションを併用して1時間~1時間半程度です。

人工股関節置換術に年齢制限はありますか?

バイオクリーンルームでの手術の様子

特に年齢制限は設けていません。しかし、術前の股関節の状態が術後の股関節の機能に反映されることが多いので、いたずらに手術時期を遅らせるのには賛成できませんね。90歳前後の高齢者の場合、歩けなくなった状態で手術というケースもあるのですが、「どうして、もう少し早い段階で手術を受けてもらえなかったのだろう」と残念に思うことが度々あります。人工股関節置換術は、インプラントの形状や手術手技が確立されてから、50年以上経過している治療方法です。現在、日本では年間5万例以上も行われており、もはや特別な手術ではないといえるでしょう。もちろん医療保険も適用されますので、自分の脚で歩きたいと思う人は、一度は考えてみるべき治療法です。とはいえ、手術を一度も受けたことのない人やあまり整形外科を受診したことがない人にとっては、初めての手術に対する心理的ハードルが高いのは当たり前かもしれません。最近はインターネットで様々な情報を検索することができますので、心理的ハードルを少しでも下げるためには、病院や人工関節センターのホームページや市民公開講座などで、人工関節に関する情報を得ることも有用かもしれません。

術後のリハビリから退院までの流れを教えてください。

手術の翌日には車イスに移ってもらい、2日目からリハビリ室で歩行訓練を始めてもらいます。最初は、硬膜外麻酔や鎮痛剤などで痛みをコントロールしながらリハビリを行います。早期からリハビリをスタートすることで、静脈血栓塞栓症の予防や筋力の早期回復に繋がってきます。また早くから動けるようになると、患者さん自身のリハビリに取り組む意欲が向上するという精神的なメリットもあります。年齢に関係なく入院期間は20日前後です。ただし、術前の時点でかなり筋力や歩行能力が低下していた人や高齢の患者さんで両側の股関節が悪く回復も遅れると思われる場合は、回復期リハビリ病棟に転棟していただき、継続してリハビリを行います。退院の目安は、杖を使っての自立歩行と手すりを使っての階段昇降です。術後の創部筋肉や傷口の回復、歩行の安定などにはある程度の時間をかけた方が職場復帰などで活動量が上がった時にも問題が起こりにくいので、術後1ヵ月間は自宅で療養するように指導しています。


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