メニュー

専門医インタビュー

痛くない側の脚で10秒間立つことができますか? 筋力が弱る前に股関節の専門医に相談を

神奈川県

プロフィールを見る

横浜市立大学医学部卒業。日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会リウマチ医

この記事の目次

股関節が痛いために歩くのが辛い。そうすると動くのがおっくうになり、結果的に脚の筋力が弱ってしまいます。「人工股関節置換術の目的は、痛みをなくし歩行能力を獲得すること。片方の脚で10秒間立つことができるかどうかが、手術を決める大事なポイントです」と話すのは、明徳会 総合新川橋病院 整形外科副部長・関節センター長の兵頭晃先生。術後の回復のみならず、変形性股関節症の予防の点でも脚の筋力は重要です。変形性股関節症の治療法の種類からその選択方法、脚の筋力を保つことの大切さについて詳しく伺いました。

股関節の痛みを起こす代表的な疾患にはどんなものがありますか?

変形性股関節症のX線

代表的な病気は「変形性股関節症」です。変形性股関節症は圧倒的に女性に多い病気で、その8割~9割は生まれつき骨盤の被りが浅い臼蓋形成不全が原因です。残りは大腿骨頭壊死や、中には若い頃に股関節を骨折して年齢を経て症状が出てきたというケースもあります。臼蓋形成不全の主な原因である先天性股関節脱臼は小児健診の普及により今や少なくなりましたが、軽い臼蓋形成不全はまだまだ見逃されている可能性があります。症状が出てくるのは30代~40代からで、それを放置していると50代~60代になって痛みがひどくなってくる、これが変形性股関節症の代表的なケースといえるでしょう。なお、股関節の周辺が痛いと訴えてきた患者さんでも、必ずしも股関節が悪いとは限りません。腰部脊柱管狭窄症などのように、「原因は主に腰にあるが、痛むのは股関節」という人も案外多いのです。逆に、腰の治療をしているが中々治らないのでよく調べてみたら、実は股関節が悪かったということもあります。医師が最初に気をつけなくてはならないのは、股関節以外に痛みの原因がないかという点です。レントゲン上で股関節の変形がはっきりしていれば間違いありませんが、最初に見落とすと治療が上手く進みません。最初の診断が肝心です。

変形性股関節症の主な治療法を教えてください。

まずは保存療法を行うのが一般的です。主な保存療法としては、股関節周囲の筋肉をつけるための運動療法、消炎鎮痛剤などを使って痛みを抑える薬物療法、姿勢を保つ装具や足底板(インソール)などで左右の脚の長さ揃える装具療法などがあります。加えて、「杖を使って転倒を防ぐように」、「体重を減らすように」といった日常生活に対するアドバイスも受けるでしょう。しかし、保存療法を色々と試してきたけれど症状が一向に改善されない、まだまだ痛みが強くて歩きづらいという場合には、人工股関節置換術を選択肢として検討する必要があります。人工股関節置換術を勧める主な対象は、痛み止めの薬を使っても痛みが取れず、日常生活や仕事に支障が出て困っている50歳以上の患者さんです。


この記事の医師がいる
病院の詳細はこちら

ページの先頭へもどる

PageTop