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専門医インタビュー

寺山 弘志 先生|痛みは我慢しないで! 専門医に相談を 原因さえ判明すれば治療法はいくつもある|人工関節ドットコム

広島県

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1993年に広島大学医学部卒業。中電病院、松山赤十字病院、サカ緑井病院を経て現職。日本整形外科学会専門医。所属学会、日本股関節学会、日本人工関節学会、西中国外傷研究会(幹事)

この記事の目次

この頃、足のつけ根が痛くて歩きづらいのは、年のせいだから仕方がないの? そんな悩みを抱えている人はいませんか。無理をして動いていると膝や腰、背中や首まで具合が悪くなってしまったり、大事にし過ぎて動かないでいると外出するのが億劫になってしまいます。「痛みは我慢しないで、まず原因を調べ適切な処置を受けてください」と言う、股関節の専門家・寺山 弘志先生に伺いました。

股関節周辺の痛みの原因にはどんなものがありますか?

股関節唇損傷

股関節唇損傷

中高年になって起こる股関節周辺の痛みや、足を動かしづらくなってくる原因の多くは、「変形性股関節症」だと考えられます。もともと日本の女性は、大腿骨の骨盤側にあるお椀の形をした骨(臼)の発育が悪い「臼蓋形成不全」という体質を持っている人が多いのですが、その人たちが40、50代になって初めて症状が現れてくることがあります。ほかにも、軟骨で被われた大腿骨頭の一部が、血行障害によって壊死状態になり破壊されてしまう「大腿骨頭壊死症」の場合も考えられます。
最近は、「股関節唇損傷」という病気も注目されてきました。股関節唇とは、骨盤側の臼蓋を取り巻く繊維軟骨のことで、膝関節における半月板と同じように骨頭を安定させ、衝撃を吸収する役割を担っています。その股関節唇が損傷を受けると、角度によって足を動かしたときに痛みがでます。将来的に股関節の変形に影響することもあるで、初期に気付けば内視鏡手術などで対応も可能です。
また、本当は腰が悪いのに、患者さんは股関節周りが痛いと訴えてくることもあります。膝の治療を続けているのになかなか良くならないのでよく調べてみたら、実は股関節の変形が原因だったということもあります。お尻が痛い、腰が痛いと訴えてきた人には、股関節の状態を診るためにレントゲンを撮り状態を確認します。

どのようなことがきっかけで受診してくるのでしょう?

はじめは何となく違和感がある程度だったけれど、歩くと痛みを感じるようになり、「いつまでも股関節周辺の痛みが取れない」「痛みをかばうために片足を引きずるなど歩き方が不自然になってしまった」「普通に歩いているつもりでも頭が揺れていたりするのをほかの人に指摘された」、などのことがきっかけで受診する人がいます。
股関節や膝の上あたりの痛みがあって、今までよりも動きづらくなったと感じたら、一度整形外科医に相談してください。できれば股関節を主に診ている整形外科医を探すといいでしょう。股関節の痛みの原因を確認して、対処法を知ったうえで生活するのが大切です。

「変形性股関節症」の対処法を教えてください

変形性股関節症のレントゲン

診断は問診や触診、レントゲン撮影などを行います。脚の関節を動かし、どういう動きをしたときにどこが痛いのかなどを調べて、その痛みが股関節からくるものかどうかを確認します。
初期の変形性股関節症であれば、まずは股関節周辺の筋肉強化に特化した訓練を行います。リハビリの専門家が患者さんそれぞれに合った運動を指導します。リハビリでは関節の変形が悪化することを止めることはできませんが、8割くらいの人は痛みがある程度軽減できたという報告もあります。
痛みを取るために、痛み止め薬の内服、股関節への関節注射なども有効ですが、いずれにしても対症療法にすぎません。股関節の変形破壊が進み、痛くて歩けなくなった時の有効な治療法の一つが、人工股関節置換術です。
変形性股関節症は命にかかわる病気ではありません。手術をするか、痛みを我慢するかは、患者さんの考え方次第ということになるでしょう。どうしても痛みが耐えられない、歩くのがつらくてこのまま寝たきりになってしまったらどうしよう、などという不安や、家族に迷惑をかけたくないからと、元気なうちに手術を選択する患者さんもたくさんいらっしゃいます。


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