関節治療の専門医に聞いてみました!

第163回 筋力があれば、膝の痛みも軽くなる人工膝関節にもいろいろなタイプが

  • 山本 重吉 先生
  • 海保病院 整形外科 人工関節センター センター長
  • 043-443-1101
ドクター
プロフィール
資格:日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会指導医、日本整形外科学会脊椎脊髄認定医、日本整形外科学会認定スポーツ医、日本リハビリテーション学会リハビリ認定医
エリア 千葉県タグ
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山本 重吉 先生

膝の痛みのために出来ないことがあって困っている?

保存療法を頑張っても痛みが取れない、痛みのために、今までできていたことができなくなった、というのが一つの目安です。例えば、日常生活はなんとかやっていけるけれど、楽しみにしている旅行に行けなくなった、大好きなゴルフもできないなど、もっと自由に動いて人生を楽しみたいという時に相談してもらえれば、手術の提案をします。
例えば、膝関節の変形が高度であっても、四頭筋の力が維持されている方は痛みが少なく、人工膝関節の必要がないでしょう。逆にレントゲンで今の状態からさらに悪くなると困る、もっと活動したい、以前のように動きたいからと手術を望む人もいます。
どんな治療があるのか、自分は何をしたいのか、どうすればADL(日常生活動作)とQOL(生活の質)が向上するか、真剣に考えてみましょう。

人工膝関節について教えて下さい?

TKA(全置換術)とUKA(部分置換術)

TKA(全置換術)とUKA(部分置換術)

まだ若くて、靭帯や筋肉が十分に残っている人には、O脚になっている骨の向きを少し変えてあげる骨切り術を行うこともあります。これで満足できる日常生活が送れるようになる人もいます。
人工膝関節置換術とは、変形した関節の代わりに人工のものに置き換えて痛みを改善する治療法で、関節の表面をきれいに削って、そこに人工膝関節を設置するTKA(全置換術)と、傷んでいる内側だけを替えるUKA(部分置換術)の種類があります。
部分置換術は、40代~60代前半くらいの人で、内側の痛みは強いけれど関節変形はそれほど進んでいない人、まだ活発に動く必要がある人にはいい方法だと思います。関節全てを取り換えるよりも回復が早く、正座もできるようになるくらい膝の動きも取り戻せます。
全置換術は基本的に手術は、できるだけ筋肉や周囲の組織を温存する、低侵襲の方法で行います。この地域は農家が多く、80代でも腰をかがめ、膝をついて畑仕事を行う人がいます。膝のお皿まで人工のものに替えたほうがいいのかなど、生活環境や膝を使う頻度なども考えてそれぞれの人に合ったタイプと方法を選びます。このように手術の方法にもいろいろな種類がありますから、早めに相談してほしいですね。

人工膝関節置換術ができない人もいますか?

もっと動けるようになりたいという意欲がない人に人工膝関節置換術を行っても、少々期待外れに思うかもしれません。じっと家の中にいるだけなら、それほど痛くはないのですから。
また、すでに膝が全く伸びない人、膝周囲の筋肉がすっかりなくなってしまっている人が人工膝関節にしても、すぐに動けるようになるわけではありません。
人工膝関節は、関節は新しくしますが、関節を包んで動かしている腱や筋肉を強くするような手術ではありません。いずれ手術をと思っているなら、膝が全く伸びない、固まってしまう前に行うのが理想です。
手術の合併症である感染や血栓症を起こしやすいのが、糖尿病の人です。そういう人は、早めに入院してもらい、きちんと数値をコントロールしてから手術を行います。心臓が悪いとか、脳梗塞をしたことがある人でも、内科医と相談をしながら人工膝関節置換術を行うことができます。

手術前にはどんな準備をしますか?

人工膝関節置換術後のレントゲン

人工膝関節置換術後のレントゲン

患者さんの血液、レントゲン、心電図はもとより、現在の薬、術前の感染症検査を施行し、医師は患者さん一人ひとりの状態に合わせて、人工膝関節を入れる角度や位置などを計算し、手術の手順計画を立てています。手術自体はコンピュータ―を駆使し計画を立てますので、人工膝関節置換術は、安全安心に出来る手術です。
人工関節そのものの性能も、医師の手技も、10年前に比べるとずいぶん進歩していますし、今後は、もっといい道具が出てきます。
今手術をした人は、20年以上は何事もなく使うことができると思います。


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