関節治療の専門医に聞いてみました!

第212回 膝痛の治療今後の人生を考えた
納得のいく
治療選択を!

ドクター
プロフィール
岐阜大学医学部卒。千葉西総合病院、鎌ヶ谷総合病院、東京女子医大付属膠原病リウマチ痛風センターを経て、現在に至る。
専門:変形性関節症(特に膝・股関節)、骨粗鬆症、関節リウマチ、人工関節・骨折手術全般
資格:日本整形外科学会専門医、日本リウマチ学会専門医、日本体育協会公認スポーツドクター
エリア 北海道タグ
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川上 公誠 先生

人工膝関節置換術はどのような人が対象になり ますか?

変形性膝関節症のレントゲン(正面と側面)

変形性膝関節症のレントゲン(正面と側面)

一般に、年齢が60歳以上で、保存療法で膝痛が改善しない場合は、人工膝関節置換術を考えてもいいと思います。60代で人工関節は早いと感じられる方もいるかもしれません。しかし、今は、人工膝関節の性能が格段に上がり、耐用年数も20~30年といわれています。毎日1、2回は痛み止め薬を飲まないと痛みががまんできないとか、100m歩くと膝が痛いという状態にあるなら、人工膝関節の手術を検討してみてもいいと思います。

手術を受けるタイミングはありますか?

どのタイミングで治療を受けるのかは患者さん自身が決めることです。その上で医師の立場から言うと、痛みが極限まで達して、動けなくなってしまってから人工膝関節の手術を受けるのは、あまりお勧めできません。なぜなら、そこまでの状態になってしまうと、手術は可能だとしても、手術後のリハビリが患者さんにとって非常に大変なものになり、時間もかかってしまうからです。
私の経験では、60~歳くらいの年齢で、人工膝関節の手術前に、旅行や運動などをしていて活動性の高かった人は、手術後も以前の活動性を取り戻していることが多いです。つまり、ある程度動けるときに人工膝関節置換術を受けたほうが、手術後、順調に回復していく人が多いという印象があります。

人工膝関節置換術を受けるのに年齢は重要ですか?

人工膝関節置換術後のレントゲン(正面と側面)

人工膝関節置換術後のレントゲン(正面と側面)

手術後の経過を考えると、手術前にある程度運動量がある60歳~75歳くらいが理想的だとは思います。しかし、年齢はあくまでも目安であって、実際には、患者さん個々の状態でそれぞれ適応を判断していきます。例えば、私の患者さんで、膝の痛みを何とかしたいということで、90代で人工膝関節置換術を受けた方がいます。重篤な合併症があるような場合は別として、杖を使えば歩けるくらいの方なら80歳以上の高齢であっても人工膝関節置換術のメリットを享受できると思います。
一方、関節リウマチの場合は、30代、40代という若い人でも人工膝関節置換術を行うことがあります。関節リウマチは炎症によって関節が破壊される病気で、大きな関節が破壊されていると全身状態も悪くなっていきます。例えば、炎症の要が膝関節という場合、人工膝関節置換術を行うことで全身状態が改善することがあります。

持病があっても人工膝関節置換術を受けることはできますか?

心臓病や糖尿病などの持病があっても、他の診療科と連携することで人工膝関節置換術が可能な場合があります。当院の場合も、対応可能なケースについては、近隣の総合病院と連携して行っています。さらに、高齢になると骨粗鬆症の方が増えてきます。骨粗鬆症についても、手術中から骨形成薬を投与することで、手術後、人工膝関節の沈みが減っているというデータがあるので、そのような対応によって手術は可能です。


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