関節治療の専門医に聞いてみました!

第212回 膝痛の治療今後の人生を考えた
納得のいく
治療選択を!

ドクター
プロフィール
岐阜大学医学部卒。千葉西総合病院、鎌ヶ谷総合病院、東京女子医大付属膠原病リウマチ痛風センターを経て、現在に至る。
専門:変形性関節症(特に膝・股関節)、骨粗鬆症、関節リウマチ、人工関節・骨折手術全般
資格:日本整形外科学会専門医、日本リウマチ学会専門医、日本体育協会公認スポーツドクター
エリア 北海道タグ
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川上 公誠 先生

手術後、どのようなリハビリをするのですか?

膝屈曲のイラスト

人工膝関節にしただけでは満足な結果を得ることは難しく、手術後のリハビリが非常に重要です。いわゆる車の両輪のようなもので、手術とリハビリはセットだと考えてください。例えば、膝というのは120度曲がれば日常生活に不便なことはあまりありません。人工膝関節に置換した後、この120度屈曲ができるようになるには、手術後2~3週間が非常に重要なのです。人工膝関節の手術を受ければそれで終わりではないので、病院選びの際に、その施設のリハビリの体制や内容を確認することも大切だと思います。

手術後に痛みはありますか?

リハビリテーションルーム

リハビリテーションルーム

手術後、傷の痛みなどがある場合があります。しかし、それも最近は痛みのコントロール方法がいろいろ取られています。例えば、麻酔科の専門医が常駐して持続大腿神経ブロックを行い、痛みの軽減に取り組んでいる病院もあります。この方法だと鎮痛作用が3日間ほど持続するため、手術後、麻酔から覚めても患者さんが痛みを訴えることはほとんどなく、手術翌日から積極的なリハビリを開始することができています。リハビリ中に少し痛むような場合は、鎮痛薬でその都度対応しています。私の経験から、手術後、リハビリが早く、積極的に始められると退院までの経過が非常にスムーズに進むというのを実感しています。人工膝関節手術自体の痛みについては、どのような対応をしてもらえるのか事前によく聞いておくといいでしょう。

人工膝関節置換術後の生活の注意点はありますか?

体がぶつかり合うような激しいスポーツを除いて、ほとんどの人は、特に制限なく生活ができるようになることが多いと思います。中には正座ができる人もいますが、あまりおすすめしていません。人工膝関節を長持ちさせるためには、過度な負担をかけないことも大切だからです。
また、感染症にも十分な注意が必要です。感染症は人工膝関節に致命的なダメージを与えてしまうため、手術中も念入りな感染症対策を行っています。手術後は患者さん自身が虫歯や歯周病の予防、肺炎などの内科的な感染症予防に務めることが重要です。

最後に膝の痛みに悩まれている人にメッセージをお願いします

川上 公誠 先生

人工膝関節置換術は、保存療法で改善しなくなった膝の痛みに悩まれている人にとっては、有効な治療の選択肢だと思います。人工膝関節の手術そのものは日本国内で年間8 万件以上も行われており、人工膝関節の技術、手術手技ともにいまや一般的となった手術療法です。
とはいえ、いざ手術を受けるとなると不安を感じるのは当然だと思います。その場合は、手術を勧められている病院の待合室で、人工膝関節の手術をした患者さんにどんな手術で、手術後どんなふうになったのかをご自身で聞いてみるのがいいと思います。私も、手術を迷われている患者さんには、そうお勧めして考えてもらっています。
自分はもう高齢だからといって、人工膝関節の手術を諦めてしまう人が中にはいらっしゃいます。しかし、自分の寿命などわからないものです。辛い膝の痛みを抱え、歩けないままずっと暮らす自分と、痛みを感じずに暮らせる自分を想像し比べ、今後の人生を考えご自身が納得のいく選択をしていただきたいと思います。




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