関節治療の専門医に聞いてみました!

第212回 膝痛の治療今後の人生を考えた
納得のいく
治療選択を!

ドクター
プロフィール
岐阜大学医学部卒。千葉西総合病院、鎌ヶ谷総合病院、東京女子医大付属膠原病リウマチ痛風センターを経て、現在に至る。
専門:変形性関節症(特に膝・股関節)、骨粗鬆症、関節リウマチ、人工関節・骨折手術全般
資格:日本整形外科学会専門医、日本リウマチ学会専門医、日本体育協会公認スポーツドクター
エリア 北海道タグ
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川上 公誠 先生

変形性膝関節症と診断され、人工膝関節の手術を勧められたものの不安を抱え、悩んでいる人は多いと思います。「手術を迷っているなら、経験者に聞くのがおすすめです」と話す川上公誠先生に、いまや一般的な治療法として普及し、多くの人が受けるようになっている人工膝関節置換術について、その内容や手術を受けるときのポイントを伺いました。

主な膝の痛みの原因は何ですか?

膝関節の構造

膝関節の構造

膝の痛みの原因として多いのは変形性膝関節症です。変形性膝関節症は、膝関節を形成する大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)の間でクッション役を果たしている軟骨がすり減ってしまうために、骨同士がぶつかり合い、関節の変形や痛みをともなう病気です。
一方、ケガなどによる半月板や靭帯といった膝関節の軟部組織の損傷が原因で起こる膝痛もあります。変形性膝関節症の場合は、膝関節の隙間や変形の状態をレントゲン検査することによって診断がつきます。しかし、軟部組織の場合は、MRIを撮らなければ状態を確認することができません。例えば、軟骨の一部だけ陥没しているようなケースでは、レントゲン上は軟骨のすり減りが確認できず、痛みの原因がわからないことがあります。そのため、当院の場合は、患者さんが訴える膝痛の症状とレントゲン所見が合致しない場合はMRIを撮るようにしています。レントゲン検査で特に異常がないのに、膝痛がなかなか改善しないという場合は、MRIによる精密検査を受けてみるとよいでしょう。

どんな人が変形性膝関節症になりやすいのでしょうか?

正常時と変形性膝関節症のイラスト

膝関節は、いうなれば消耗品なので、過度な使いすぎや、負荷がかかり続けることで軟骨がすり減り、進行すると変形性膝関節症を発症します。原因としては、加齢や膝の使いすぎ、肥満による膝への負担、O脚などで、性別では男性よりも女性のほうが変形性膝関節症になりやすいといわれています。
また、若いときにケガによって前十字靭帯や半月板を損傷したことのある人も発症しやすいといわれています。
前十字靭帯は膝の安定性を保ち、半月板は膝関節の衝撃を吸収するクッションの役割を果たしているため、これらが損傷すると軟骨がすり減りやすくなるといわれています。ですから、昔、膝をケガしたことのある人で、中高年以降、膝痛を感じたら早めに整形外科を受診して膝関節の状態を確認することをお勧めします。

変形性膝関節症の治療法について教えてください

膝を真っ直ぐに伸ばして10秒静止

膝を真っ直ぐに伸ばして
10秒静止

変形性膝関節症の治療は、一般的に保存療法から行います。当院の場合は、痛み止め薬の服用や湿布薬の使用、ヒアルロン酸注射などの薬物療法から始めます。特に、ヒアルロン酸注射は、複数回行うことによって痛みの改善に効果を感じられる患者さんが多いという印象を持っています。このような薬物療法を2~3週間継続しても痛みが改善しない場合は、リハビリを行います。
リハビリでは、膝周りの筋力トレーニングを行います。例えば、膝を真っ直ぐに伸ばし、そのまま10秒くらい静止して戻すという動作を毎日10回くらい。このように足を動かすことによって膝関節の炎症が抑えられ、痛みが改善することがあります。ご自分で運動する場合は、プールでのウォーキングもお勧めできます。水の浮力を利用して歩くことで膝関節に負担をかけずに効果的な運動ができます。同じような運動でもジョギングは膝に負担がかかり、かえって悪化させてしまうので避けたほうがよいでしょう。
当院の場合は、このようなリハビリを3~6か月続けてもらいます。それでも痛みが改善しない場合は、人工膝関節置換術が治療の選択肢として入ってきます。


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