関節治療の専門医に聞いてみました!

第214回 自信をもって生活を送るために
膝の痛みは
専門医に相談を

ドクター
プロフィール
専門分野:関節疾患(特に膝関節・人工関節全般) 外傷・脊椎手術
資格:日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会脊柱脊髄病認定医
エリア 徳島県タグ
この記事の印刷用PDF
大歯 浩一 先生

年齢を重ねるとともに膝の痛みを訴える人が増えてきます。膝に痛みがあると、身体を動かさなくなり筋肉が衰え、さらに症状が悪化するという悪循環に陥りがちです。
「近年の医療技術、人工関節や薬剤の質の向上は著しく、この病気の治療法は飛躍的に進歩しています。」と強調する、徳島県立三好病院整形外科の大歯浩一先生にお話を伺いました。

「膝が痛む」原因は何ですか?

正常(左)と軟骨が損傷した膝関節(右)

正常(左)と軟骨が損傷した膝関節(右)

膝の痛みには大きく分けて、膝の軟骨が経年劣化して起こる変性系の疾患と、リウマチなどの関節炎が原因で膝軟骨が損傷されて起こる炎症性疾患の2つのタイプがあります。
膝関節の中には軟骨があり、その軟骨は皮膚などと違って一度傷むと修復されることはなく再生できません。加齢とともに膝の中の軟骨も徐々に経年劣化していきます。加えて、重労働やスポーツなどによって膝に過度な負担がかかると、軟骨がなくなっていきます。そうすると関節内は骨が露出し、骨同士(太ももの骨とすねの骨)が当たって痛みが引き起こされるのです。これが、変形性膝関節症の原因であり、病気に至るプロセスです。
年齢に伴う膝の痛みは、地域性によっても大きく違ってくると思います。例えば、私が勤務している地域は山間部で傾斜地が多い上に農業に携わっている人が多く、膝への負担が大きいために膝が傷みやすい環境にあるといえるでしょう。通常であれば70 代くらいで手術を受ける人が多いですが、当院を受診する患者さんをみると80代くらいの患者さんが手術をするケースが多く、中には90代の方もいます。

受診のタイミングはいつが良いのでしょうか?

変形性膝関節症のレントゲン

変形性膝関節症のレントゲン

患者さんの多くは、歩きにくくなって動くのが億劫になったことがきっかけとなって病院を受診するケースが多いようです。早めに受診、治療するのがいいと思いますが、例えば車を利用する人はあまり歩かなくても生活できるため、受診が遅くなるケースもあります。近所にも歩いて行けなくなったら車での生活もできなくなるので、諦めて手術を受けるのだと思います。
高齢者の中には、山間地や傾斜地が多いエリアにお住まいの人も多いかと思います。
その中で一人暮らしを余儀なくされている人の中には、膝が痛くて一人で生活ができなくなり、受診して手術を受けるケースもあります。
膝の痛みを訴えて病院を受診された場合、まずレントゲン写真を撮って患部を確認します。ただ、レントゲンでは軟骨の状態が見れないので、レントゲンで原因が特定できなければ、MRIで半月板と軟骨の状態を確認します。

変形性膝関節症の治療法を教えてください

ヒアルロン酸注射

ヒアルロン酸注射

変形性膝関節症と診断されたら、筋力の維持に努めることが重要です。筋力が衰えてくると、筋力で分散されていた負担を膝関節が一手に支えなければならなくなるため症状が悪化してしまいます。筋力維持のためには、体重のコントロールも重要になります。たとえば、歩くだけでも膝への負担は体重の3倍になり、200kg近い負荷がかかるといわれています。小走りだと5倍くらいの負荷になるなど、太り過ぎには注意が必要です。筋力維持のための運動では、サイクリングマシンによる運動や水泳など、膝への負担が少ないものが理想的だといえるでしょう。
また、膝の軟骨がある程度残っている場合は、ヒアルロン酸の注射を行います。保湿力があるヒアルロン酸を軟骨部分に注入することによって軟骨の水分の層を厚くし、なくなった軟骨を補完するような治療法です。


記事の一覧へ

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

ページの先頭へ