関節治療の専門医に聞いてみました!

第221回 股関節の痛み専門医に相談し自分の状態に適した
治療や生活のアドバイスを
受けましょう

  • 遠藤 裕介 先生
  • 岡山労災病院 整形外科部長 兼 人工関節センター長
  • 086-262-0131
ドクター
プロフィール
日本整形外科学会専門医、医学博士、日本人工関節学会評議員
専門分野 股関節外科、下肢人工関節
エリア 岡山県タグ
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遠藤 裕介 先生

股関節の痛みにはさまざまなものがあります。その中でも中高年、特に女性に最も多いのが変形性股関節症です。初期の段階ではX線では確認できないこともあります。あまりにも股関節の痛みを我慢すると、股関節だけでなく「隣接する腰椎や膝関節への影響もあり、そちらに変形や痛みが生じてしまうと股関節だけの手術では解決できなくなります。まず整形外科医、できれば股関節専門の医師にかかって、自分の状態に適した治療や生活のアドバイスをしてもらいましょう。」とお話される岡山労災病院整形外科部長兼人工関節センター長の遠藤裕介先生に健康寿命を延ばし生活を改善する手段のひとつとしての人工股関節置換術を中心にお話をうかがいました。


股関節の痛みにはどのような原因がありますか?

寛骨臼形成不全と股関節インピンジメント症候群

寛骨臼形成不全と股関節インピンジメント症候群

股関節症となる疾患は、寛骨臼形成不全、大腿骨頭壊死症、関節リウマチ、股関節インピンジメント症候群や小児期の股関節脱臼などの既往歴による遺残変形も原因となります。診断は、かなり進行している場合には股関節の正面X線画像1枚で判明しますが、初期の段階ではX線画像では読影できない関節唇という軟部組織から破綻を生じ、徐々に軟骨がすり減るとX線上でも骨と骨の隙間(関節裂隙)が狭くなってきます。初期でも痛みが強い場合もありますが、一般的には関節裂隙がなくなった末期の状態になると神経のある骨同士がこすれて非常に強い痛みに変わってきます。
中高年の女性に股関節症の患者さんが多いのは、被覆が正常より少ない状態(寛骨臼形成不全)が日本人に比較的多く、女性では関節を支える筋力が弱く緩く関節不安定性による障害が生じやすいこと、さらに閉経の時期を過ぎると骨粗髪症や軟骨の代謝異常などが起こりやすくなることが考えられます。また最近では、脊椎の圧迫骨折などで骨盤が後ろへ傾くことによって、相対的に前方の被覆が少なくなり進行した比較的高齢者の股関節症を診ることがあります。

変形性股関節症と診断された場合、どのような治療を行うのですか?

プールでの歩行 関節可動域の維持運動(健康ゆすりなど)

プールでの歩行               関節可動域の維持運動
                      (健康ゆすりなど)

保存療法というのは、体重管理、関節可動域の維持運動(健康ゆすりなど)、筋力強化、鎮痛薬の内服などが挙げられます。ただし、その適切な保存療法は患者さん個々人によって異なります。初期の段階では体重管理や筋力強化が中心となりますが、末期の場合には過度な筋力強化や動きでかえって痛みが増悪する場合もあります。たまに鎮痛薬を内服する程度で日常生活に支障がなければ、適度に関節負荷の少ない。プールでの歩行や水泳などの運動も許可しています。プールへ習慣的に通っておられる患者さんは比較的疼痛が少なく、また手術を行っても回復も早い印象があります。

どのようになれば手術を考えた方が良いでしょうか?

夜間痛で不眠、歩容がひどく旅行や外出などが関節痛で億劫になっている、鎮痛薬を多量に常用する患者さんには、除痛と日常生活の改善を目指した手術治療を提案しています。
手術を受けるタイミングは、痛みで我慢できない出来事があったり本人が手術を必要と思った時で良いと説明しています。ただし、長期的には隣接する腰椎や膝関節への影響もあり、そちらに変形や痛みが生じてしまうと股関節だけの手術では解決できなくなります。筋力が低下した状態では関節の痛みがとれても回復は非常に時間がかかります。両側の痛みが強く末期関節症の状態では突然歩けなくなって車椅子で再来されることもあるので、計画的に痛みが強い方から人工関節手術を受けることをおすすめします。
人工関節以外の手術法としては、特に活動性が高く比較的若年者の患者さんでは、骨切り術という関節温存術があります。ただし、長期のリハビリと松葉杖の使用が必要です。術前の年齢や関節症の進行具合によっては、除痛効果が不十分で早期に人工関節置換術を要することもあります。

変形性股関節症の進行

変形性股関節症の進行


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