関節治療の専門医に聞いてみました!

第264回 大切なことは自分の脚で歩けること。
適切な治療を受けて
健康寿命を延ばしましょう

ドクター
プロフィール
専門:膝関節外科、リウマチ関節外科、スポーツ整形外科
資格:日本整形外科学会認定整形外科専門医、日本リウマチ学会専門医・指導医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター
エリア 東京都タグ
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二木 康夫 先生

術後の痛みのコントロールとリハビリについて教えてください

階段昇降

術後は、皮膚や骨を切ったことによる痛みがあるので、それを抑えるために手術中に関節内に複数の鎮痛薬を混合したカクテル注射を打ち、状態によっては鎮痛薬を投薬します。これによって手術直後の痛みはかなり解消されるので、手術後2日目には、リハビリとして起立訓練が始まります。
ただし、リハビリ中は、多少の痛みがあったほうが良いと考えています。なぜなら、リハビリ中の痛みを完全に押さえてしまうと、転倒のリスクが増したり、筋肉を痛めたり、術後の炎症を悪化させてしまう可能性があるからです。リハビリの段階では、ある程度の痛みは許容したほうが患者さんにとってメリットがあると思います。リハビリは立つ訓練から始まります。それから歩く訓練、階段昇降、膝の曲げ伸ばし訓練などを進めていきます。リハビリに要する期間は、単顆置換術で約2週間、全置換術で約3週間、両膝同時の全置換術だと4週間くらいが一般的です。ただし、患者さんの中には、独居で身の回りのことをすべて自分でしなければならない方や、自宅に戻ったらすぐに家族の介護をしなければならない方もいます。そのような方の場合は、リハビリ専門の施設に転院していただき、自信がつくまでリハビリを継続することもあります。

人工膝関節の手術後、気をつけることはありますか?

杖を持つことをお勧めします

ジャンプして着地するような膝関節に衝撃のかかる動作をすると、人工膝関節の破損につながるので控えるようにしましょう。また、転倒や骨折にも注意が必要です。転ばないようにするために、退院後、外出するときには最低でも3ヶ月間、杖を持つことをお勧めします。転倒防止にもなる上に、他人が不用意にぶつかってくることも、杖を持っていることで、ある程度避けることができます。また、むし歯や骨粗しょう症がある人は、治療が必要です。むし歯は、治療時に菌が血流に乗って人工膝関節に付着して不具合を起こすことがあります。さらに、骨粗しょう症で骨が弱い場合も、転倒時の骨折につながることがありますから、治療しておくことが大切です。
人工膝関節の定期検診は、術後月に一回、半年後に一回、一年に一回、その後は年一回のペースで定期検診を受けていただきます。人工膝関節を長持ちさせるためにも定期的なチェックは欠かせません。また生活している上で少しでも気になるようなことがあれば医師に相談しましょう。

膝の痛みに悩んでいる方へ、メッセージをお願いいたします

二木 康夫 先生

「自分の脚で歩ける」というのは、本当に大切なことだと思います。豊かな人生を送る上での重要なキーワードとして、QOL(生活の質)や健康寿命という言葉があります。QOLを向上させることも、健康寿命を伸ばすことも、自分の脚で歩けることに加えて歩行機能を維持しなければできません。歩行機能を維持するために、場合によっては人工膝関節にする必要がある場合も出てきます。手術に抵抗感のある方は多いと思いますが、寝たきりになってしまってからでは遅いのです。
たとえ人工物であってもより自然な人工膝関節を目指して、医療技術は日々進歩しています。膝の痛みでお悩みの方は、勇気を持って整形外科へ受診されることをお勧めします。




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