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専門医インタビュー

股関節の痛みは悩まずに受診を。進歩した治療で快適な生活を送りましょう

後藤 久貴 先生

福岡県

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資格:日本整形外科学会専門医、技師装具等適合判定医、臨床研修指導医
所属学会:日本整形外科学会、西日本整形災害外科学会、日本股関節学会、日本人工関節学会、日本骨折治療学会
専門分野:股関節、下肢外傷

この記事の目次

加齢とともに股関節に痛みや違和感を覚え、日常生活に支障が出てしまうことがあります。その原因として多いのが変形性股関節症です。高齢化が進む現代では増加の傾向にあり、それに伴い手術などの治療法もその技術が進歩しています。中でも、人工股関節置換術は、痛みを抑えた生活を取り戻すための有効な治療法として定着してきています。その詳細について、股関節の専門である諸岡整形外科病院の後藤久貴先生にお話を伺いました。

股関節とはどのような関節ですか?

股関節の構造

股関節の構造

股関節は両脚のつけ根にあり、骨盤と大腿骨(太ももの骨)を結ぶ関節です。大腿骨の上端にある骨頭と呼ばれる球状の部分が、骨盤の寛骨臼というお椀のようなくぼみに深くはまり込んだ構造をしています。寛骨臼のお椀状になっている部分のうち、上側を臼蓋、下側を臼底といいます。通常、寛骨臼が骨頭のおよそ4/5を包み込むことで関節を安定させています。さらに骨の表面は軟骨でおおわれ、股関節にかかる力を吸収するとともに大腿骨頭と寛骨臼の働きをサポートしています。これが周囲の筋肉とともに働いて、私たちは足を前後左右に自由に動かすことができているのです。

痛みの原因は何ですか?

寛骨臼形成不全

寛骨臼形成不全

股関節が痛む原因として多いのが、変形性股関節症です。これは股関節への負担が原因で軟骨の破壊や変形が生じ、痛みが出たり、可動域の制限などが起こることで立ったり歩いたりすることに支障が出るものです。
発症の原因としては、生まれつき寛骨臼の被りが浅い寛骨臼形成不全や、成長過程で変形していく発育性股関節形成不全などがあります。それらの疾患を抱えたまま股関節を使い続けることで、加齢とともに軟骨のすり減りが進行してしまいます。患者さんは、50代以上の女性が多く加齢によって変形が進み、痛みを生じているケースが大部分です。診察では股関節のレントゲン画像の他に、必要に応じて股関節以外の周辺の部位の状態もみていきます。ご自身では股関節に原因があると思っていても、実際に検査してみると、原因が腰や膝関節にあることも少なくありません。体はつながっているので、全体的に詳しく調べないと診断ができないこともあります。整形外科では痛みの原因がどこにあるのか丁寧に調べていくことで、それに適した治療法を選択することができます。

どのような治療法がありますか?

股関節やその周囲の筋肉

股関節やその周囲の筋肉

変形性股関節症の治療には、保存療法と手術療法の大きく2つがあり、一般的には保存療法から治療を開始します。具体的には、痛み止めの内服薬の処方や運動療法などがあります。
関節に必要以上の負荷がかかるような運動は悪化してしまうリスクもありますが、適切なストレッチや筋トレと言った運動をすることには、「筋力をつける」という意味で重要です。股関節やその周囲に筋肉がつくことで、変形性股関節症の痛みを軽減したり、進行を遅らせたりという効果が期待できるのです。運動は通院時にリハビリ室で行いますが、時間に限りがあるため、医師や理学療法士のアドバイスのもと自宅でも取り組んでもらいます。
このような保存療法を続けながら状態をみていきますが、改善しない方、また鎮痛剤の効果が少なく痛みや変形が強くて運動がまったくできないという方には、手術の選択肢も出てきます。とはいえ、手術を決断することは簡単なことではありませんし、後回しにしたい気持ちも十分に分かります。ですが、そのまま我慢しつづけると痛みで日常生活の質が下がり、運動機能の低下や認知症など別の疾患につながるケースも少なくありません。保存療法を3ヶ月以上続けても症状が改善しない場合は、手術について考えてみるのも良いでしょう。


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