関節治療の専門医に聞いてみました!

第272回 膝や股関節の痛みから目をそむけず
整形外科医と
適切な治療を

  • 芹ヶ野 健司 先生
  • 湘南中央病院 診療技術部長・整形外科部長
  • 0466-36-8151
ドクター
プロフィール
専門分野:膝関節、スポーツ外科、一般外傷
資格:日本整形外科学会専門医、日本体育協会公認スポーツドクター、日本整形外科学会会員、日本人工関節学会会員、JOSKAS会員、東日本整形災害外科学会会員、関東整形災害外科学会会員、神奈川整形災害外科研究会会員
エリア 神奈川県タグ
この記事の印刷用PDF
芹ヶ野 健司 先生

膝や股関節の痛みの原因は様々で、整形外科でレントゲンやMRI検査を受けたり、トータルな視点で診断を受けたりすることで、適切な治療を受けることができます。自己流や受け身の治療ではなく、医師と患者さんの二人三脚での治療が痛みの改善につながると話す芹ヶ野先生に、膝と股関節の痛みの原因や人工関節手術を含む治療法、リハビリの重要性などについて詳しく伺いました。

中高年に多い膝の痛みの主な原因は何ですか?

変形性膝関節症(両膝)のレントゲン

変形性膝関節症(両膝)の
レントゲン

中高年の膝の痛みの原因として最も多いのは、変形性膝関節症によるものです。変形性膝関節症を発症する原因としては加齢によるところが大きく、例えば、加齢によって半月板などの軟部組織が変性し、膝が安定性を失って関節軟骨がすり減り、骨同士がぶつかり合うことで痛みや変形が起こります。あるいは、長年の和式での生活による膝関節へのストレスや加齢による関節軟骨の変性、若い頃にスポーツなどで半月板や靭帯を損傷などさまざまな原因があります。なお、変形性膝関節症以外では、膝大腿骨顆骨壊死といって突発的に激痛が起こる膝の病気もあります。
いずれにしても膝が痛むときには、膝関節の中で何かが起きていることが多いので、整形外科を受診して、レントゲンやMRI 検査などで痛みの原因を確認してください。

骨壊死とはどのような病気ですか?

骨壊死(膝関節と股関節)

骨壊死(膝関節と股関節)

骨壊死は膝関節だけでなく、股関節にもよく見られる病気です。膝関節の場合は特発性骨壊死といって原因不明のことが多く、50~60代の女性で発症頻度が高いといわれています。一方、股関節の場合も原因は不明な特発性であるが、飲酒やステロイド剤などが原因ではないかと考えられている骨壊死が多いといわれています。症状の特徴としては、変形性関節症の場合は、歩行時など関節に負荷がかかるときに痛むのに対して、骨壊死の場合は、夜寝ているときなど安静にしているときに痛むことが多いです。骨壊死は激痛が急に始まることが多いものの、初期の段階だとレントゲン検査ではわかりづらいことが多いのです。そのため、レントゲン検査を受けても異常がみられないのに、強い痛みが続く場合は、MRIによる詳しい検査を受けることをお勧めします。

変形性股関節症の手術のタイミングと手術方法とは?

ヒアルロン酸注射

ヒアルロン酸注射

変形性膝関節症の治療では、まず保存療法から始まります。膝の痛みが出始めてすぐに整形外科を受診した場合は、比較的軽度のことが多いので、痛み止め薬の服用や貼り薬による薬物療法と同時に、運動療法として、筋力トレーニングなどのリハビリを行います。膝の痛みが出始めてから時間が経っているとか、痛みを繰り返していて、保存療法があまり効いていないけれども、まだ手術には踏み切れないという場合は、ヒアルロン酸注射や足底板などの装具療法、継続的なリハビリの指導などが行われます。
また、膝に水が溜まり、屈伸すると痛みが強くなるときは、膝の水を抜くのと同時に関節内の炎症を抑える治療を並行して行います。水を抜くとクセになると思っている患者さんも多いのですが、そのようなことはありません。繰り返し膝に水が溜まるのは膝関節内の炎症が鎮まっていないせいなので、炎症に対する治療が重要になります。

部分的に人工膝関節に置換する手術があるのですか?

全置換術と単顆置換術

全置換術と単顆置換術

変形が強いことに加えて日常生活に支障が出るほどの痛みがあり、保存療法が効かなくなってしまったら、手術はQOL(生活の質)を高めるのにいい選択肢だと思います。
人工膝関節の手術には、大きく2種類あり、膝関節全体をそっくり人工物に置換する全置換術と、部分的に置換する単顆置換術があります。膝関節の内側だけというように、傷んでいるのが片側だけで、なおかつ前十字靭帯などの靭帯が健康であれば、単顆置換術が適応します。単顆置換術では靭帯などが残せるので、全置換術に比べて手術後の違和感が少なく、除痛効果の高さを実感する患者さんも少なくありません。ただし、温存したもう片側の関節が将来傷んで変形する可能性があり、その場合は、再手術として全置換術を行うことがあります。
膝関節が全体的に傷んでいるとか、人工膝関節の耐久性を求めるなら全置換術のほうが向いており、近年は技術の進歩で20~30年は持つといわれています。単顆置換術が適応する場合も、患者さんごとに個別の事情や状態を考えてオーダーメイドで選択する必要があると思います。


記事の一覧へ

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

ページの先頭へ