関節治療の専門医に聞いてみました!

第286回 ひざの痛みをあきらめないで
原因を正しく把握し
適切な治療選択を

  • 岩澤 智宏 先生
  • 西能病院/整形外科センター西能クリニック 医長
  • 076-422-2211
ドクター
プロフィール
専門分野:整形外科一般、関節外科(特に膝、肩)、スポーツ障害、骨粗鬆症
資格:日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会認定スポーツ医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター、日本骨粗鬆症学会認定医、日本人工関節学会認定医
エリア 富山県タグ
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岩澤 智宏 先生

保存療法で症状が改善しない場合はどうするのですか?

保存療法を続けていても痛みが取れず、日常生活に支障が出ているようであれば、手術を検討するタイミングかもしれません。変形性膝関節症の手術には「関節鏡視下手術」「骨切り術」「人工膝関節置換術」の3つがあり、患者さんの症状や進行程度に応じて選択されます。
変形が比較的軽度な場合は、関節鏡という小さなカメラを関節内に入れ、炎症を起こす原因となる滑膜をクリーニングしたり、傷んだ軟骨や半月板を取り除く関節鏡視下手術が可能です。傷口が小さいため身体への負担が他の手術より少なく、術後の回復が早いので入院期間も短いのが特徴です。
一方、骨切り術は、関節周囲の骨を切り、脚の向きを変えることで変形を矯正し、痛みを取り除く手術です。日本人には内側の軟骨がすり減るO脚の人が多いので、傷んでいない外側で体重を支えるように矯正します。ご自身の関節が温存できるため膝の可動域(動作できる範囲)が広いのが特徴で、骨が癒合(ゆごう)すれば活動制限はありません。スポーツへの復帰も目指すことができるので年齢が比較的若く、活動性の高い人が適応の手術となります。
損傷が激しく、これらの方法では改善が望めないケースには、人工膝関節置換術を検討することになります。

関節鏡視下手術と骨切り術

人工膝関節置換術とはどのような手術なのでしょうか?

全置換術と部分置換術

全置換術と部分置換術

変形して傷んだ膝関節の骨の表面を取り除き、金属やポリエチレンなどでできた人工関節に置き換える手術です。傷んでいる部分を取り除くので、高い除痛効果が期待できます。
膝関節には、内側の関節と外側の関節とお皿の関節の3つがありますが、その内のいずれか1つだけが傷んでいて、変形が強くない場合には、その部分だけを人工関節に置き換える部分置換術が可能です。傷口に加えて骨や筋肉の切除量が少ないために痛みも少なく、早期回復が望めます。これに対し、すべての関節が傷んでいる場合や、変形の程度が強い場合には、膝関節全体を人工関節に置き換える全置換術が適応となります。全置換術は、部分置換術と比べると可動域に制限はあるものの、耐久性に優れ手術成績の安定している一般的な手術です。関節ごと置き換えることで高度なO脚やX脚の改善も期待することができます。なお頻度は低いですが、手術にともない感染など合併症のリスクが少なからずあります。また持病をお持ちの場合手術を受けられないケースもありますので手術を検討される際に医師に確認するようにしましょう。

手術に導入されている「ナビゲーションシステム」とはどのようなものですか?

ナビゲーションシステムの一例

ナビゲーションシステムの一例

「ナビゲーションシステム」とは、コンピュータによる手術支援システムの一つです。赤外線CCDカメラなどの技術を応用して、患者さんに適切な人工関節の設置位置や角度、骨を切る量などを計測し、手術器具をどのように動かせばよいかを手術中に画面で表示してくれますので、より正確で安全に手術を行うことができます。
ナビゲーションシステムのメリットは情報を共有できることだと思います。どのような手術を行ったのか患者さんのご家族に説明することができるのはもちろんのこと、術後の屈曲角度や関節のバランスなども数値として示されるので、リハビリのスタッフとも情報を共有・還元でき、チーム医療にも貢献しています。また、骨を切る方向や量が正しいのかどうかを、その都度、医師と数値で共有・確認できますので、若い医師を教育する立場としても有効なシステムだと感じています。


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