関節治療の専門医に聞いてみました!

第286回 ひざの痛みをあきらめないで
原因を正しく把握し
適切な治療選択を

  • 岩澤 智宏 先生
  • 西能病院/整形外科センター西能クリニック 医長
  • 076-422-2211
ドクター
プロフィール
専門分野:整形外科一般、関節外科(特に膝、肩)、スポーツ障害、骨粗鬆症
資格:日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会認定スポーツ医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター、日本骨粗鬆症学会認定医、日本人工関節学会認定医
エリア 富山県タグ
この記事の印刷用PDF
岩澤 智宏 先生

中高年の女性に多く見られる変形性膝関節症。痛みを我慢したり、「歳だから」とあきらめてしまう人も少なくないようですが、あまりに進行してからでは受けられる治療も限られてしまうといいます。「膝の痛みが原因でやりたいことをあきらめる必要はありません。今は色々な治療法があります」とアドバイスする西能病院の岩澤先生にお話をうかがいました。

膝が痛む原因となる主な疾患と、適切な受診タイミングを教えてください

階段を昇り降りでの膝の痛み

中高年で膝が痛む原因として多いのは変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)です。これは、膝にある軟骨が加齢や筋力低下などによって傷むことで、炎症が起きたり骨が変形してしまう状態をいいます。若い人でも痛みを感じたり違和感を抱くことがあり、その場合は半月板損傷(はんげつばんそんしょう)など過去のスポーツ外傷をきっかけに変形性膝関節症が進行しているケースも少なくありません。
受診のタイミングとしては、トイレに入って座る立つ、階段を昇る降りる、車に乗る降りる、屋外を歩行する、といった日常生活動作に不便を感じるほどの痛みがある場合や、膝の曲げ伸ばし時にひっかかる感じがある、O脚やX脚など外見上の大きな変化がある、といった場合は、一度整形外科を受診されることをお勧めします。早い段階であれば、多くの選択肢からご自身に合った治療法を選ぶことができます。

膝に水が溜まった場合、抜くと癖になるといわれていますが本当でしょうか?

膝に溜まった水を抜く

水を抜くから癖になるわけではありません

水を抜くから癖になるわけではありません。膝に水が溜まるというのは、軟骨や半月板などが傷んでいる状態を身体が察知し、関節液という関節を保護・維持するための液体をたくさん出して治してあげようとしている状態です。その状態で水を抜くと、一時的に痛みは和らぐのですが、もとの原因である変形性膝関節症や半月板損傷などを治療しない限り、水を抜いてもまた水が溜まるというサイクルが繰り返されます。大切なのは、もととなる原因を根本的に治療していくことです。溜まった水を抜いて症状を改善するだけでなく、抜いた関節液を検査して正しい原因を究明し、適切な治療を行っていくことが大切です。

変形性膝関節症にはどのような治療を行うのでしょう?

椅子に座って交互に脚を伸ばす

レントゲン検査など診察を受けて大きな問題がなければ、まずは運動療法(リハビリ)や生活指導、痛み止めの内服薬や外用剤、足底板(インソール)などの装具療法、関節内へのヒアルロン酸注射といった保存療法(手術以外の治療)から始めます。
治療のベースとなるのは運動療法で、中でも太ももの前側にある筋肉を鍛えて膝への負担を軽減する大腿四頭筋(だいたいしとうきん)訓練が効果的です。椅子に座って交互に脚を伸ばすだけでも効果があり、ご自宅でも簡単にできるのでお勧めです。仰向けの状態での、脚の上げ下げや自転車漕ぎ運動なども効果的です。これらの運動は膝に体重がかからないので、膝に痛みがある場合でも無理なく行うことができます。また、膝に痛みがなければ、ウォーキングやサイクリングを始め、少しずつ距離を伸ばしていくと良いでしょう。また、膝への負担を減らすという意味では、ダイエットも有効な治療法です。過体重の人は適切な体重コントロールを心がけてください。多くの場合、これらの保存療法で症状の改善が見られます。


記事の一覧へ

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

ページの先頭へ