関節治療の専門医に聞いてみました!

第305回 ひとりで悩まず早目に受診を専門医と適切な治療を見つけましょう

ドクター
プロフィール
金沢大学医学部卒
資格:日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会認定リウマチ医・スポーツ医、日本人工関節学会認定医、医学博士
所属学会:日本整形外科学会、日本人工関節学会、日本肩関節学会、中部日本整形外科災害外科学会
エリア 石川県タグ
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伊井 定雄 先生

中高年以降の膝関節や股関節の痛みは、放っておくと治療の選択肢が限られるため、できるだけ早期に整形外科を受診することが大切になります。また、痛みの訴え、画像や身体所見、そして、手術後どんな生活がしたいかにより、治療方法が異なってきます。その詳細にくわえ、痛みをもたらす原因、注意すべき合併症、手術後におこなうリハビリなどについて、公立能登総合病院の伊井定雄先生に伺いました。

膝関節の痛みの主な原因は何ですか?

膝関節

中高年や高齢者での膝関節の痛みの主な原因が変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)です。膝関節の軟骨が摩耗したり半月板(はんげつばん)というクッションが擦り切れ、さらに骨も変形することにより、痛みが生じたり曲げ伸ばしがしにくくなり、正座や階段の昇り降りやしゃがみこみなどの動作時に支障がでてきます。さらに進行すると脚の形がO脚やX脚と変形し、平地での歩行にも支障がでてくるようになります。
また中高年では骨壊死や半月板損傷あるいはリウマチなどが痛みの原因となることがあります。骨壊死の原因は血流が滞るあるいは軟骨下骨折などの説があります。またステロイド使用による続発性も指摘されています。これらの疾患は変形性膝関節症の原因につながることがあるため、放置しないことや慢性化させないことが大変重要になってきます。
一方若年者の場合は半月板損傷や靱帯損傷などスポーツ障害が原因となることが多いです。

股関節の痛みの主な原因は何ですか?

変形性股関節症

変形性股関節症

股関節の痛みの原因としてあげられるのは変形性股関節症(へんけいせいこかんせつしょう)です。膝関節と同じく、股関節の軟骨が摩耗し骨が変形することにより、痛みが出たり関節が動かしにくくなったりする疾患です。進行すると歩き方が悪くなって脚を引きずったり(跛行(はこう))、あぐらをかけない、靴下が履けないなどの不自由さが出現してきます。原因は主に臼蓋(きゅうがい)形成不全です。
臼蓋形成不全は日本人女性に多い先天的な骨盤の骨の形態異常で、大腿骨(だいたいこつ)の上端にある骨頭(こっとう)にくらべ骨盤側の屋根にあたる臼蓋のかぶりが浅く、このため一部に過剰な負荷がかかって軟骨が擦り減りやすくなり、進行すると関節周囲に骨の棘(とげ)や穴が生じ変形が進行していきます。また臼蓋形成不全でなくても、脊椎の加齢変化(変形性腰椎症、圧迫骨折など)で腰を悪くすることで骨盤が後方に傾きやすくなり、変形性股関節症を発症するケースも増えています。いずれの場合も加齢にともなう組織の変化や修復機能の低下が深く関係しているので、中高年層においては特に注意が必要です。

膝関節や股関節の痛みが出た時はどうすれば良いですか?

伊井 定雄 先生

まずは安静にすることが大切です。無理な姿勢や急激な動作を控えたり、負担のかかる仕事や作業を減らす。あるいは肥満傾向があれば体重をコントロールしたりし、膝や股関節への負担をできるだけ減らしましょう。市販の痛み止め薬や湿布薬で痛みが和らぐこともありますが、それはあくまで一時的な対処で、根本的な解決にはなりません。進行すると、杖なしで10分も歩行できない、畳の上から立ち上がれないなど仕事や生活にさまざまな不便が出てきてしまうので、そうなる前に整形外科を受診されることをおすすめします。


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