関節治療の専門医に聞いてみました!

第313回 膝や股関節の痛み専門医と相談して
自分に合った治療法を選択しよう

  • 横山 裕介 先生
  • 岡山労災病院 整形外科副部長、人工関節センター センター長
  • 086-262-0131
ドクター
プロフィール
資格:日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会認定リウマチ医、日本整形外科学会認定スポーツ医
エリア 岡山県タグ
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横山 裕介 先生

高齢化に伴い膝や足の付け根、太ももなどの痛みに悩んでいる人が増えていますが、整形外科を受診されない方が多いようです。「歳だからとあきらめる必要はありません。痛みの改善が期待できる方法はたくさんあります。まずは膝や股関節に詳しい専門医を受診し、相談してみてください」とアドバイスする岡山労災病院の横山裕介先生に、侵襲の少ない手術方法や、手術を受けるにあたって気を付けたいことなどについてお話をうかがいました。

「変形性膝関節症」とはどのような疾患ですか?

半月板と靭帯

中高年の膝(ひざ)の痛みの主な原因は、変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)です。加齢によって半月板(はんげつばん)や靭帯(じんたい)といった軟部組織(なんぶそしき)が変性し、膝(ひざ)が安定性を失うことで軟骨(なんこつ)がすり減ります。軟骨は太ももの骨(大腿骨(だいたいこつ))とすねの骨(脛骨(けいこつ))の間でクッションの役目を果たしているので、すり減ると神経のある骨同士が直接ぶつかるようになり、痛みが出てくるのです。多くは60代くらいから症状が出ますが、若い頃にスポーツなどのケガで半月板や靭帯を損傷したことのある方は、もう少し早い段階で症状が出ることもあります。また、日本人は、膝の内側で体重を支えるO脚の方が多く、内側に痛みを感じる方が多いのが特徴です。しかし、症状が進行し、膝の外側やお皿の骨(膝蓋骨(しつがいこつ))の軟骨も変性してくると、膝全体に痛みを訴えるようになります。
「歳だから仕方がない」という声をよく耳にしますが、痛みの改善が期待できる方法はたくさんあります。諦めないで、まずは膝に詳しい専門医を受診し、相談してみるといいでしょう。

「変形性股関節症」はどのような疾患でしょう? 太ももの痛みは神経痛と勘違いすることも?

臼蓋形成不全

臼蓋形成不全

変形性膝関節症と同様に、関節の軟骨がすり減り、骨同士が直接ぶつかるようになって痛みを生じます。変形が進むと関節の可動域制限や脚の長さが変わるなど(脚長差(きゃくちょうさ))が表れるようになり、股関節(こかんせつ)だけではなく、腰や膝にも変形や痛みが出ることがあります。日本人の場合は、骨盤側(こつばんがわ)の屋根の部分が小さいために股関節(こかんせつ)にストレスが集中し、軟骨が摩耗してしまう「臼蓋形成不全(きゅうがいけいせいふぜん)」が原因になることが多いようです。
60代以降に痛みを感じ始める方が多く、脚の付け根や太ももなどの痛みを訴えて受診されます。脚の付け根に痛みがある場合は、股関節の治療に結び付きますが、太ももに痛みがある場合は、腰からの神経痛として治療されることもあります。神経痛の治療を受けていてもなかなか太ももの痛みがよくならない場合は、一度、股関節に詳しい専門医を受診し、検査をしてもらってもいいかもしれません。

変形性膝・股関節症の治療法を教えてください

ジグリング

ジグリング

膝、股関節ともに、まずは保存療法から始めます。中でも重要なのは適正な体重管理です。減量によって関節にかかる負担を減らすことで、痛みの緩和が期待できます。また、関節周囲の筋力訓練も効果的です。膝関節の場合は、椅子に座った状態で脚を真っ直ぐに伸ばしてつま先を立てたり(大腿四頭筋訓練(だいたいしとうきんくんれん))、股関節の場合は、ジグリング(貧乏ゆすり)による可動域訓練も有効だといわれています。痛みがあって運動が難しい場合は、プールでの水泳や水中ウオーキングを利用するといいでしょう。減量や筋力訓練は継続して行うことが大切なので、初めから目標を高く持つ必要はありません。減量であればまずは2キロ、運動であれば苦痛にならない程度から始め、徐々に目標値を上げていけばいいのです。
保存療法には他に鎮痛剤などの薬物療法や関節内注射などがあります。こういった保存療法で症状が改善し、その状態を維持できている方もたくさんおられます。しかし、保存療法を続けていても症状が改善せず、日常生活や仕事に支障が出るような場合は、手術を検討してもいいと思います。


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