関節治療の専門医に聞いてみました!

第35回 股関節に痛みを感じたら、どうしたらいい?
早期回復をめざす人工股関節置換術

ドクター
プロフィール
日本大学医学部卒業。日本大学医学部整形外科などを経て現職に。日本整形外科学会専門医。専門分野は、股関節外科、膝関節外科、スポーツ整形外科、関節リウマチ
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年齢とともに増える股関節の痛み。原因として一番多いのは「変形性股関節症」と言われています。どうしても「少しくらいの痛みなら…」と我慢しがちになりますが、治療をしないで放っておくと、その後の日常生活に支障が出てしまう可能性もあります。股関節に痛みを感じたら、どのように対処したらよいのでしょうか。また、治療法にはどのような方法があるのでしょうか。日本大学病院 整形外科の龍啓之助先生にお話を伺いました。

年齢を重ねるにつれ、多くの人が股関節の痛みで悩むと聞きます。
代表的な疾患にはどのようなものがありますか?

股関節は、大腿骨(太ももの骨)の丸い骨頭(ボール)が、骨盤の臼蓋(受け皿)に組み合わさってできています。ボールと受け皿の表面は軟骨で覆われていますが、加齢とともに磨り減り、痛みが出てくることがあります。これを「変形性股関節症」といい、中高年の股関節の痛みの原因として、一番多いと言われています。
このような加齢による変形性股関節症には、体重が重い人や筋肉が少ない人のほうがなりやすい傾向にあります。また、先天的に受け皿のほうが小さい人(臼蓋形成不全)や、生まれつき股関節がずれている人(先天性股関節脱臼)も変形性股関節症になりやすく、日本人にはこのタイプの変形性股関節症が多いと言われています。なお、変形性股関節症の患者さんの9割は女性です。

変形性股関節症と診断された場合、どのような治療が行われますか?

股関節が痛んで、骨と骨がぶつかっている

変形性股関節症になった場合、まずは筋力トレーニングや投薬など、できる限り保存的療法を行います。筋力トレーニングをすることで、股関節にかかる負担が減り、症状がとても改善される人もいます。ただ、保存療法で1~3カ月程度経過観察をしても、痛みが継続するなど症状が改善されなかった場合や、症状が進行してしまっている場合は、手術療法が必要となります。比較的症状が軽い場合は、骨を切って骨の向きや形、関節のかみ合わせを調整する「骨切り術」を行い、症状が進行している場合は「人工股関節置換術」を行います。

「人工股関節置換術」とは、どのような手術ですか?
最近よく耳にする「MIS(最小侵襲手術)」についても教えてください。

人工股関節置換術は、股関節の傷ついた部分を取り除き、人工関節に置き換える手術のことで、日本では年間約5万件の手術が行われています。最近では、手術部位のダメージ(侵襲)をできるだけ小さくし、患者さんの体にかかる負担を小さくする「MIS(最小侵襲手術)」という手術方法が多くなってきました。従来の方法だと、手術部位を15センチ程度切っていましたが、MISの場合は7センチ程度ですみます。切る長さが短いということは、それだけ筋肉を傷つける量も少なくなるので、術後の痛みも少なくなり、早期リハビリ・早期回復につなげることが可能となります。
人工関節は体に金属(異物)を入れるため、どうしても細菌に対する免疫反応の働きにくい部分ができてしまうことから、感染に弱いという弱点もあります。しかし、MISでの手術の場合は、手術部位のダメージが小さい分、感染しにくいというメリットもあります。


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