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専門医インタビュー

膝の痛みの治療は「意欲と筋力」が大切です。早めに専門医へご相談ください

大谷 真史 先生
  • 大谷 真史(おおたに まさふみ) 先生
  • 総合大雄会病院 人工関節センター 診療部長
  • 0586-72-1211

愛知県

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主な専門領域:整形外科、関節外科(人工関節・リウマチ)
所属学会:日本整形外科学会、日本リウマチ学会、日本人工関節学会
資格:日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会認定リウマチ医、日本整形外科学会認定スポーツ医、日本整形外科学会認定運動器リハビリテーション医、日本人工関節学会認定医

この記事の目次

年齢とともに膝が痛むようになり、行動が制限されていませんか。我慢をしないで早めに専門医に相談すると、筋トレなどの運動療法や薬物療法などで早期回復が望めるなど治療の選択肢が広がります。総合大雄会病院 人工関節センターの大谷真史先生に、膝の痛みの原因や治療法、自宅で簡単にできる筋力トレーニングについても教えていただきました。

膝の痛みが強くなってきた時、どのような疾患が考えられますか?

正常な膝と変形性膝関節症(進行期)

膝の痛みを伴う疾患として、スポーツ外傷が原因となる半月板損傷や、安静時にもズキズキと痛みが出る場合は大腿骨の骨壊死も考えられます。しかし、中高年で一番多いのが「変形性膝関節症」です。これは加齢とともに膝の関節にある軟骨がすり減り、関節のすき間が徐々になくなり痛みが生じる疾患です。50代後半から症状が出始めて70~80代で進行することが多く、女性に多く見られるのも特徴です。変形の初期段階であれば自然に回復して痛みが取れることもありますが、変形が進行すると動作開始時だけでなく足を着く度に痛みが出たり、歩行時間が次第に短くなったりします。患者さんにはよく「休まずにどれぐらい歩き続けられますか?」と聞くのですが、「10分歩いたらひと休みして、痛みが取れたらまた歩き出します」というように生活に支障が出ていたら、早めに専門医にかかってほしいと思います。

「変形性膝関節症」は、どのような治療から始めますか?

初期段階であれば、まず太ももの筋力トレーニングを行います。同時に、鎮痛剤や膝へのヒアルロン注射、症状の強い方には炎症を抑えるステロイドの注射、サポーターなどの装具を使って膝の痛みを緩和します。運動療法を面倒に感じる方もおられますが、痛みの軽減が期待でき、手術となった場合でも筋力を維持していることで術後の回復が早まるので、運動療法を習慣化してほしいと思います。
ご自宅で膝に負担をかけずにできるトレーニングとしては、空気を少し抜いたボールを使った2種類の「ボールストレッチ」がお勧めです。1つ目は「膝の引き締め運動」で、ボールを膝の下に置き、膝の力で10 秒ほどボールを押しつぶしていきます。つま先を起こすとより効果的です。2つ目は「脚閉じの運動」で、膝の間に挟んだボールを両膝の力で10秒ほど押しつぶします。テレビを見ながらできますので、朝昼晩、30セットを目安に行ってください。

ボールストレッチ「膝の引き締め運動」

ボールストレッチ「膝の引き締め運動」

ボールストレッチ「脚閉じの運動」

ボールストレッチ「脚閉じの運動」

手術を受けるメリットと、決断するタイミングについて教えてください

膝の痛み

手術を受けるメリットは、膝の痛みが軽減することによって行動範囲が広がることです。今まで家族や友人への迷惑を考えて遠慮していたこと、例えば旅行やレジャー、階段の昇降が必要な場所にも気兼ねなく行けるようになると思います。手術は医師が一方的に決めるものではなく、患者さんの痛みの訴えとレントゲン画像による進行度を見て総合的に判断します。痛みの出方と変形の状態は一致しないことがありますので、日常生活に支障が出ているかどうかがひとつのポイントになります。歩くのが難しくなってから手術を検討される方が多いのですが、筋力や体力が落ちてから手術を受けると、術後のリハビリに時間がかかる場合が多いです。完全に歩行ができない状態よりも、痛みによって歩行距離が短くなってきた段階で手術を受けるのが望ましいと思います。杖や歩行器を使って休まず歩き続けられる時間が10~15分ほどになってきたら、医師と相談しながらタイミングを考えてみても良いと思います。


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