メニュー

専門医インタビュー

ガマンは禁物 早めの相談で治療の幅を広げましょう

森島 満 先生

埼玉県

プロフィールを見る

東京医科大学 整形外科学分野 助教、2011年ロンドンヘルスサイエンスセンター adult reconstruction(カナダ)留学

この記事の目次

股関節が硬くなって動きが非常に悪い、立っているのもやっと、というくらいまで悪化してから、初めて相談に来る人が案外多いのが変形性股関節症。手術するかしないかを決めるのは、患者さん自身。「できれば、痛みが出始めた時早めに相談したほうが、治療の選択肢が多い」と話す森島満先生に聞きました。


ケガがきっかけで変形性股関節症が判明?

一番多いのが、もともと股関節の受け皿となる骨盤の形が浅くて、股関節に負担がかかりやすい、臼蓋形成不全の場合で、女性に多いのが特徴です。必ずしも全員が変形性股関節症になるわけではありませんが、ベースにそういう傾向があれば、歳を重ねるごとに股関節の変形を招きやすくなります。ほかにも、代謝が悪くて関節に代謝産物がたまってしまい、関節を壊してしまう痛風などの代謝疾患や、関節リウマチでも股関節の不具合が起こります。
例えば、先日手術をした75歳の女性は、転倒による骨盤骨折で病院に来られた際に、股関節の変形が強いことがわかりました。ご家族によると、10分も立っていられなかったし、足を引きずって歩いていたそうですが、それまで整形外科にかかっていませんでした。
骨折をきっかけに股関節の治療を始めることになりました。
こういう人は少なくありません。
相当進行した状態で来る人もいます。我慢して我慢して、何とか過ごしてきたけれど、さすがに痛くて厳しい状態になってからやってくるのです。でも、関節の変形がかなり進行してしまっている状態だと、手術の提案をするしかないこともあります。

早い段階で関節の状態を確認するのが大事?

変形性股関節症の進行

変形性股関節症の進行

痛みが出ても数日で落ち着くようなら、様子を見ていてもいいでしょう。
でも、痛みのために日常の行動に支障が出るようなら、我慢しないで整形外科を受診してください。早い段階でレントゲンを撮って、股関節の状態を確認することが大事です。
変形が初期の段階の頃は、特に痛みが強いので、その時は痛み止めを上手に使います。
痛みをかばって動いていると、体のバランスが崩れ、もう片方の股関節や腰、膝も悪くなってしまいます。
そのため左右の脚の筋力のバランスがとれるように、太ももの筋肉、腰回りの筋肉を鍛える体操や、柔らかくするストレッチを勧めています。運動療法を続けることで、股関節が安定し、関節にかかる負担を減らすことができるので痛みが改善します。

手術を勧める目安は?

変形性股関節症のレントゲン

変形性股関節症のレントゲン

保存療法を続けても日常生活に支障がある、痛み止めの薬も服用し、運動療法も十分にしたけれど、あまり改善しない、痛みが我慢できないという時が、手術を考えるタイミングです。ただし手術を無理に勧めることはありません。手術をするかしないかは、ご本人の希望によります。
高齢の人の中には、「いまさら手術をする必要があるの?」という人もいらっしゃいます。家族の手があり、そんなに動かないのでこのままでいい、と言う人もいます。動かなければ股関節は痛くないので、そういう選択もあるでしょうが、活動量が減るのはもったいないのではないかと思います。
しかし、80代、90代の人でも自分で動きたい、動かないといけないという活動意識の高い人の多くは手術を希望されます。


この記事の医師がいる
病院の詳細はこちら

ページの先頭へもどる

PageTop