メニュー

専門医インタビュー

股関節に痛みを感じたら、すぐに整形外科に相談しよう ~変形性股関節症とその治療法~

  • 堀田 拓 先生
  • 東京歯科大学市川総合病院 リハビリテーション科 部長・教授
  • 047-322-0151

千葉県

プロフィールを見る

専門:人工関節外科、小児整形外科、下肢の外傷(スポーツ外傷も含む)
資格:日本整形外科学会専門医

この記事の目次

歳をとるにつれて、股関節の痛みに関係する問題で悩む人が増えてきます。関節が硬くなって思うように曲がらない、痛い、歩くのがつらいので外出がおっくうになり、引きこもってしまう人もいるのではないでしようか。股関節の痛みをもたらす原因は何でしようか?また、その対応法は?変形性股関節症とその治療方法について、東京歯科大学市川総合病院 リハビリテーション科 部長・教授の堀田拓先生にうかがいました。

変形性股関節症はなぜ起こるのでしょうか。また、どんな人がかかりやすいのですか?

股関節も膝関節も変形性関節症による痛みのメカニズムや対処法はほぼ同じです。体重過多や関節内の損傷、使い過ぎなどの力学的ストレスによって関節のバランスが悪くなり、関節の表面の軟骨がすり減っていくのが、変形性股関節症の根本的な原因といわれています。軟骨がすり減ると関節が硬く動きが鈍くなり、軟骨の下にある骨そのものが変形して内側に出っ張り、歩く時に痛むのです。股関節の場合、太ももが痛くなったり、左右の脚の長さに差が出て脚を引きずって歩いたりといった症状があらわれます。

股関節のしくみ

年齢が高くなれば誰でも多少は軟骨が減少しますが、関節変形の発現は個人差が非常に大きいといわれています。軟骨が減る速度も、人によって様々です。何年もかかって進行していく人もいる一方で、数力月単位で進んでしまう人もいます。70、80、90歳になっても、関節の痛みがない人はたくさんいます。反面、40、50代でも変形が進んで手術を考えなくてはならない人もいます。股関節の場合、先天性股関節脱臼や臼蓋形成不全に起因する、生まれつきの障害で起こる二次性股関節症がほとんどで、患者さんの9割が女性と、男性より女性のほうが圧倒的に多い特徴があります。また、肥満も股関節に余計な負担がかかるため、変形性股関節症の大きな誘因になります。以前に比べ、日本人にも変形性股関節症の人が増えてきたのは事実で、欧米のような食生活が原因の肥満が関係していると考えられています。

変形性股関節症の治療法を教えてください。

人工股関節置換術 術前と術後のX線

変形性股関節症の診断の決め手はレントゲンです。軟骨は骨と骨との間に存在しますから、レントゲン写真で見ると、骨と骨の隙間が少なくなっているのがすぐ分かります。画像で隙間の程度を確認し、本人の痛み具合などを十分に聞いてから、患者さんの年齢を考慮して治療方針を決めていきます。例えば、変形性股関節症の初期の段階であれば、筋力を鍛えるトレーニングを指導します。筋肉を付けることは、変形性股関節症の初期の段階で非常に大事です。それでも痛みが強ければ内服薬を服用します。なお、肥満の人は減量も必要です。クリニックの場合なら、温熱療法などの物理療法を行うこともあるでしょう。これらの保存療法を行いながら、筋肉の衰えを防ぐ運動を加えて、痛みが出ないような付き合い方を指導します。保存療法を3~4カ月継続しても効果があらわれない場合には、人工股関節置換術などの手術療法を選択肢として考えます。


この記事の医師がいる
病院の詳細はこちら

ページの先頭へもどる

PageTop