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専門医インタビュー

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この記事の目次

膝の痛みには様々な原因があります。なかでも高齢者に多い変形性膝関節症は、早期に受診することで分かることがたくさんあります。きちんと痛みの原因を突き止め正しい治療を行うことで、痛みをコントロールすることが可能です。今回は日本赤十字社 原町赤十字病院の齋藤健一先生に膝が痛くなる原因や受診のタイミング、治療法などについてお話を伺いました。

膝が痛くなる主な疾患について教えてください

正常な膝と変形性膝関節症(進行期)

膝に痛みをともなう疾患は様々あり年齢によっても異なります。中高年では外傷、変性に伴う半月板や靭帯、軟骨の損傷、高尿酸血症に伴う痛風やピロリン酸カルシウムが関節内に沈着し発症する偽痛風、その他頻度は少ないですが感染や骨腫瘍などがあります。
⾼齢者の場合、膝の痛みで最も頻度の高い疾患は変形性膝関節症であると考えます。変形性膝関節症は、膝関節軟骨が変性・摩耗して関節の変形が進行し機能障害に陥る退行性疾患です。原因が明らかでない一次性と過去の外傷や感染、腫瘍など原因が明らかな二次性がありますが、日本人の場合は約90%が一次性です。

変形性膝関節症に特徴的な症状はあるのでしょうか?

立ち上がりに痛み

変形性膝関節症の症状は、変形の進行に伴い膝に痛みが出たり水が溜まったりすることです。初期症状として、立ち上がりや歩き始めに痛みを訴える患者さんが多くいらっしゃいます。進行してくると歩行中にも痛みを感じるようになり、階段の昇り降りや夜間寝ている時に痛みを訴える患者さんもいらっしゃいます。
膝に痛みがあり活動性が低下すると、運動不足による体重増加や膝を支える筋肉が衰えることで、変形性膝関節症が進みやすくなるリスクが高まります。膝に痛みがあれば、我慢せず早めに専門医に相談するようにしましょう。

受診のタイミングや治療法について教えてください

ヒアルロン酸注射

ヒアルロン酸注射

膝の痛みが改善せず1週間続くようであれば、まずは整形外科への受診をお勧めします。治療を適切なタイミングで行うことはもちろん大切ですが、なかには重篤な病気が隠れていることが稀にあります。ご自身の膝のみならず体の状態を知るためにも、一度整形外科を受診し詳しく調べてもらうと良いでしょう。変形性膝関節症の治療法は保存療法と手術療法に分かれ一般的には保存療法から開始します。保存療法には、食事や運動で体重のコントロールを行っていただく生活指導、膝を温めて血流を良くする温熱療法や大腿四頭筋(太ももの筋肉)を強化する運動療法などがあります。痛みが強い場合には消炎鎮痛剤や関節内のヒアルロン酸注射で炎症や痛みを抑える薬物療法が行われます。また膝を安定させたり痛みのあるほうの関節面への荷重を減少させたりする目的で、サポーターや足底板といった装具を使用する治療法もあります。

筋力トレーニングやストレッチが大切なのですか?

ヒアルロン酸注射

筋力トレーニングやストレッチによる運動療法によって、膝を支える筋肉が付いたり動きが改善したりすることで痛みが軽減されるケースがあるので、特に膝を支える大腿四頭筋(太ももの筋肉)を鍛えることが大切です。色々な筋力トレーニングのやり方がありますが、ご自宅でも椅子に座って簡単に行うことができるものがあります。まず片方の膝をまっすぐに伸ばしてそのまま5~10秒ほど止めます。これを左右交互に行います。ポイントはただ膝を伸ばすのではなく、大腿四頭筋にしっかり力を入れるイメージで行います。
しかし、筋力トレーニングなどを一人で続けていくことは難しいかもしれません。治療を続けるためには、具体的な目標を持ったり主治医や家族にサポートしてもらったりすることが必要だと思います。大変かもしれませんがトレーニングやダイエットを頑張ることで、どのような効果が期待できるのかをしっかり理解して努力することが大切だと思います。


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