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専門医インタビュー

膝や股関節の人工関節手術 手術やリハビリなど必要な情報を得やすくなっています

  • 富沢 一生 先生
  • 獨協医科大学病院 整形外科 講師 医局長 リウマチセンター副センター長
    医療法人康積会 柴病院 整形外科
  • 0282-86-1111

栃木県

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医学博士、整形外科専門医、日整会リウマチ医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター、日本人工関節学会認定医、股関節鏡技術認定取得医、義肢装具等適合判定医、日本人工関節学会評議員、日本股関節学会評議員、東日本整形災害外科学会評議員

この記事の目次

最近のデジタル技術の進歩により、膝や股関節の人工関節手術や手術後のリハビリなどの情報を容易に得られるようになっています。手術を正しく理解できれば、ご自身だけでなくご家族などの安心感にもつながるかもしれません。また、適切なリハビリを継続できれば早期の機能回復も期待できます。柴病院 整形外科の富沢一生先生に手術全体を支援するための患者の情報入手方法などについて教えていただきました。

人工関節の手術後は、正しいやり方でリハビリを行うことが大切なのですか?

人工膝・股関節置換術は、従来よりも手術方法や人工関節自身が進歩しています。それにより合併症がかなり抑えられるとともに、人工関節の長期耐用性も期待できるようになっています。また、患者さんの回復も早くなっており、手術翌日からリハビリを開始することが増えています。
ですが、手術後にご自身が望む生活を送っていくためには、入院期間中だけでなくご自宅に帰ってからもリハビリを継続することがとても大切です。退院後のリハビリは、正しいやり方で適正な回数を最低でも3ケ月程度は行うようにしましょう。膝や股関節の曲げ伸ばしがしっかりできるようになり関節周囲の筋力が回復してくると、床からの立ち上がりや歩行といった基本動作をスムーズに行いやすくなります。また、人工関節にかかる衝撃を筋肉で吸収しやすくなるので耐用性が延びることも期待できます。

人工膝関節置換術

人工膝関節置換術

人工股関節置換術

人工股関節置換術

リハビリを正しく行わないと問題になることがありますか?

リハビリ

通常患者さんは、リハビリのやり方を理学療法士から教えてもらったり、医師から説明を受けたりします。しかし、退院後の定期検診時に患者さんに確認すると、間違ったやり方や回数で行っている方が多くおられます。間違ったまま続けると、必要な筋肉を効果的に鍛えることができず、股関節の場合は人工関節の脱臼リスクが高まることもあります。また、早く筋肉を付けようと過度に行うと腫れや痛みが生じ、かえってリハビリが進みにくくなることもあります。

手術に関する正しい情報などを得られる手段はありますか?

医師から手術に関する説明を受ける

医師から手術に関する説明を受けた時に、分からないことや不安なことがあれば、ご自身が納得できるまで質問したほうが安心して手術に臨めるのではないかと思います。しかし、患者さんの中には、診察時に緊張して医師に質問できなかったり、医師からの説明が理解できずに不安を感じている方もおられます。
しかし最近は、インターネットの発展により医師や医療機関と患者さんを結ぶさまざまな方法が開発されています。また、手術に関する情報だけでなく、スマホ用のアプリなどでは様々なエクササイズを紹介しているものも登場してきています。
膝や股関節の人工関節や手術方法は従来よりも進歩しており、さらにこれまでになかったデジタルテクノロジーなどが加わることで、リハビリ方法をより正しく理解できるようになれば、関節機能改善への相乗効果を高められることが期待できるのではないかと思います。

デジタル技術によりどのような情報を得られるのでしょうか?

スマホ

現在はデジタル技術の進歩により、パソコンやスマホなどを使って様々な情報を得られやすくなっています。それら中には、患者さんが受ける手術について詳しく説明するものもあります。もし、診察時に医師から受けた説明がうろ覚えなら、これらによって再確認することで理解が深まり、不安や心配事が軽減できると思います。また正しい筋力トレーニングやストレッチ方法などが動画で紹介されているものもあります。膝や股関節の機能を回復させるためには、正しいやり方で継続していくことが大切ですので、繰り返し確認しながら無理をせずにできる範囲で続けていきましょう。
退院後は、人工関節やご自身の状態を確認するために定期的な検診を受けることも大切です。患者さんの中には定期検診を忘れる方がおられますが、こういったデジタルツールでは、ご自身が手術を受けた日が記録されていることが多いと思うので、それを確認すると「そろそろ定期検診に行かないと」という気づきにもつながるのではないでしょうか。

先進の技術を使った患者さんの情報入手にはどのような課題がありますか?

インターネットから情報を入手する場合、パソコンやタブレット、スマホなどが必要となります。しかし、人工関節手術を受けられる患者さんには年配の方が多く、パソコンやスマホの使用になれていらっしゃらない方が多いと思います。今後そのような患者さんにもわかりやすく使いやすいツールの開発や改良が必要だと思います。

膝や股関節の痛みに悩んでいる方へメッセージをお願いします。

膝や股関節の状態や今後どのような生活を希望するかによって、ご自身にあわせた治療を多くの中から選ぶことができます。膝や股関節の痛みのせいで、日常生活に支障があったり不安を抱えたりしていれば、お気軽に専門医にご相談ください。できるだけ膝や股関節に痛みを感じない生活を送っていきましょう。


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