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専門医インタビュー

自分が自分であるために膝関節の痛みをとり機能を取り戻す人工膝関節置換術

この記事の専門医

加藤 大三 先生

愛知県

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資格:日本整形外科学会専門医、日本リウマチ学会専門医、インフェクションコントロールドクター(ICD)、臨床研修指導医講習会受講者

この記事の目次

人工膝関節置換術について教えてください

人工膝関節部分置換術(左)と人工膝関節全置換術(右)

人工膝関節部分置換術(左)と人工膝関節全
置換術(右)

人工膝関節置換術には、膝関節の表面全部を削って人工のものに取り換える人工膝関節全置換術(TKA)と、内側の軟骨だけしか傷んでいない場合は、その部分だけを人工のものにする人工膝関節部分置換術(UKA)という方法があります。それぞれの方の膝関節やじん帯などの状態に応じた手術方法で行っています。
手術は最小侵襲手術(MIS)で行っています。皮膚の切り口の大きさだけでなく、筋肉や組織をできるだけ切らない方法で、手術直後の回復が早いのが特徴です。
早く終わればいいというものではありませんが、手術時間は1時間半くらいです。硬膜外麻酔を使っていますが、時には心臓や肺が悪くて麻酔が使えないという方には、特殊なブロック麻酔をかけて行うこともできます。内科的な合併症が問題になることはありますが、それさえクリアになれば手術を受けられない方はいません。糖尿病の方の場合は、1週間前に入院していただき血糖値のコントロールをしっかり行ったうえで手術します。

手術を決めるポイントは何ですか?

人工膝関節全置換術後のレントゲン

人工膝関節全置換術後の
レントゲン

どんな段階でいつ手術をするかというのは、レントゲンで膝関節の状態を見ただけで決めることではありません。手術は生活の質を上げるためのものですから、あくまでも患者さんご本人の希望が優先されます。その際に必ず聞いていることは、「自分が自分であるために、何かできないことがあって困っていませんか」ということです。膝の痛みや動きが悪ことによって、趣味や仕事、日常生活に制限を受けていることがあるのなら、人工膝関節置換術を考える大きなポイントになります。困っていることは何か、どんなことができるようになりたいか、孫の世話をしたいというのでもいいので、ありのままの希望を主治医に相談して下さい。O脚がかなり進み歩行器を使わないと動けなくなってから始めてやってくる方や変形がかなり進んでいる方でも、その方の状態にあわせた方法で手術を行うことができます。
しかし実際には、我慢して我慢して、もうだめという段階になって来られる方が多いですが、できればもう少し早く相談に来てもらえればいいのにと思うことがよくあります。あまり我慢してしまうと動きが悪くなり、日常生活で出来ることが減ってしまいます。動いていないと筋力が落ち、そういう状態で手術をしても手術後の回復が期待通りにならないこともあります。
手術するいいタイミングを逸してしまわないよう注意してください。

手術が決まって最初にすることは何ですか?

手書きの設計図

手書きの設計図

患者さんは手術前に全身検査を行います。手術に備えて、健康管理に心がけて下さい。その第一歩は禁煙です。
私は手術が決まったら、患者さんのレントゲンをもとに手術のシミュレーションを行います。実際に手術をしていくのと同じ手順で、切る角度をどのくらいにするとどうなるか、最終の出来上がりをどうするか、膝はどのくらいの角度曲がるようにすればいいのか、それに合わせて靭帯を緩めるか、骨を切る量などもシミュレーションをしながら作図します。シミュレーションの中で、手術中に何か不測の事態は起こらないか? その対処方法は? 理想的な膝にするには、何をしないといけないのか? など実際の手術を想定しシミュレーションしています。事前のシミュレーションをしっかり行い、予定通りの手術が行えると、手術時間も短くなり感染症など合併症の軽減にも役立ちます。


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