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専門医インタビュー

今後の人生を楽しめるのは、「元気に自分の足で歩けて」こそ! 辛い膝の痛みと自分に合った治療法の見つけ方

この記事の専門医

清水 長司 先生

京都府

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昭和63年京都府立医科大学 整形外科入局、済生会京都府病院、京都第一赤十字病院、京都地域医療学際研究所附属病院などに勤務。
米国カリフォルニア大学サンディエゴ校研究員(1994~1996)、 日本整形外科学会専門医、日本リハビリテーション医学会指導医、国民体育大会京都府選手団帯同ドクター、京都府医師会スポーツ医学委員、京都府立医科大学客員講師

この記事の目次

「人工膝関節置換術とはどういう手術なのでしょう?

人工関節膝置換術を行った膝のレントゲン写真

膝関節を人工のインプラントと入れ替える手術です。人工膝関節はコバルトクロム合金やチタン合金などの金属と軟骨の役割をする高分子量ポリエチレンからできています。耐用年数は15~20年の維持が期待できると言われており、近年クオリティが飛躍的に高くなっています。
手術時間も1~2時間で、手術の翌日からリハビリを開始し、3~4週間で退院できます。最初は関節に違和感がありますが、3~6か月で違和感もなくなり、もとの自分の膝のように生活できるでしょう。テニスや登山などのハードなスポーツには向きませんが、日常生活に支障をきたしているような痛みをとるという点では、かなりの効果があります。散歩やゴルフ、旅行などをアクティブに楽しみたいシニア世代には人工関節はおすすめです。
但し、手術には必ずリスクが付き纏いますが、人工膝関節置換術も例外ではありません。特に、患部に細菌が入り感染症にかかると、治るまでに長い期間の治療が必要になる場合があります。感染が起きると、入れた人工関節を取り出して、細菌を殺す手術を行った上で再置換する必要があります。手術は必ずしもメリットだけではありませんので、手術を受ける前には必ず担当の医師の話をしっかりと聞いてください。

人工膝関節置換術を受けた後の注意点を教えてください。

術後は急激な運動はさけた方が良いですが、大事にしすぎるのもよくありません。むしろ、術後から積極的にリハビリや運動を行った方が、回復が早い傾向にあります。逆にリハビリに取り組む段階が遅れてしまうと、患者さんの足の筋肉が衰えてしまうため、きちんと歩くことができるようになるまで、余計に時間がかかります。患者さんの身体に特に問題がないようであれば、手術の翌日から膝の曲げ伸ばしや廊下を歩くといった運動を始めるのが一般的になりつつあります。
退院後は、衝撃性が強い激しいスポーツは行わない方が良いですが、散歩や旅行などは積極的に行ってとにかく動いてください。特に水中ウォーキングや自転車こぎは、膝周りの筋肉が鍛えられるためお勧めします。また肥満の方は、人工関節をより長持ちさせるためにも、体重のコントロールを心がけましょう。インプラントそのものには特に体重制限はありませんが、自分の体重は思いのほか関節に負担をかけています。

現在、膝関節の痛みに悩んでいる方へ、先生から一言お願いします。

自分の脚で歩け、自分の行きたい場所へ行けることは何事にも代えがたい幸せです。動くことができないと動物は退化していきますが、人間も同じです。2本の足で自由に歩けるということは、人生を送る上でハリを持つということであり、膝の痛みが改善するということは、その生活の質(QOL)が飛躍的に改善されるということです。
膝に痛みを感じている方は、あまり我慢せず、まずは近くの専門医を受診してください。しばらく保存的治療を続けても症状が良くならない場合は、手術も非常に有効な選択肢となりますので、検討してください。今は、手術時の皮膚切開の長さも以前より短くなっていますし、人工関節の材質も性能も上がっています。昔にくらべ、歳をとっても質の高い生活を送っていきたいと思っている高齢の方は、遥かに多くいらっしゃるかと思います。仕事や旅行など、一度はあきらめてしまったことを再び可能にする選択肢として、ぜひ膝治療を積極的に行っていただきたいと思います。


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