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専門医インタビュー

股関節の痛み一緒に考えましょう 自分でできること手術のタイミング

この記事の専門医

小林 聡 先生
  • 小林 聡 先生
  • 東芝林間病院 整形外科医長 人工関節センター長
  • 042-742-3577

神奈川県

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1996年山梨大学卒
資格:日本整形外科学会専門医 日本整形外科学会認定リウマチ医

この記事の目次

感染と脱臼を防ぐためにすることは何ですか?

人工股関節置換術後のレントゲン

人工股関節置換術後の
レントゲン

人工股関節置換術は、糖尿病など持病がある人でも、体調を整え内科の医師と連携を取りながら血糖値などをコントロールしてから行います。
手術の合併症として注意しなくていけないのが、感染と脱臼です。手術直後の感染を防ぐためには、傷口がすっかり治るまではシャワーも入浴も禁止しています。傷口が濡れないようにしっかりカバーしてシャワーはOKというところもあるかもしれませんが、万一ということも考えて10日間はシャワーもダメ。正確には12日目からOKを出しますが、これは最初に約束してもらいます。遅発性感染に関しては、退院後の定期的な受診で、異変は早く見つけるようにしています。何が起こっても早めに気付くことができれば、簡単な方法で解決できるのですから。
脱臼の心配に関しては、患者さん自身に脱臼をしない動き方、股関節の使い方を十分に指導しています。

術後プログラムとは何ですか?

術後プログラムのビデオ

術後プログラムのビデオ

仮に月曜日に手術をしたら、金曜日には杖を使って歩いていらっしゃいます。9割の方が手術後4日目には歩けるのです。この病院の庭は庭園のように整備されており、リハビリコースになっています。ぐるっと600メートルくらいあるのですが、11日もたてば、患者さんは念のため杖を持って散策歩行をされています。
入院は、およそ3週間。術後にはやるべきことがいっぱいあります。人工股関節にした後でも、基本は、横座りはしない、転倒しないように注意すること、それ以外の動きを禁止したことはありません。正座をしてもいいし、しゃがみこむのもいい、自転車に乗ってもかまわない、ただし、正しい動き方を練習してもらいます。こうすれば安全だし、痛くならない、脱臼もしないような動き方をマスターしてもらうのです。風呂の入り方や家の中での動き方、正しいやり方をビデオを見ながら覚えてもらいます。専門スタッフによるマンツーマン指導と、動画による自主トレ指導、入院中に動きをマスターしてもらいます。
これが安心・安全な日常生活が迎えられるための、術後プログラムです。
もともと股関節の可動域がいい人はわりとスムーズにできるようになりますが、長い間痛みを我慢してきたため可動域が狭くなっていた人は、入院中にマスターするのは難しいかもしれません。正座は出来るけれど、お辞儀は無理……。それでも、時間をかければ出来るようになりますから、外来に通ってもらうことになります。

どのくらいで退院できますか?

当院は、術後入院3週間を術前に約束していただいてます。この間に和式訓練、自転車、家事訓練を行います。術後10日頃回復期病棟に移ります。基本、手術前より良くなって患者さんは帰りますので、良くならない場合はさらに入院してリハビリできます。退院後は、必ず定期的に受診してもらいます。
人工股関節は車と同じように、確認作業、メンテナンスが必要なのです。
40代、50代の方は快復も早く、手術後6週間くらいで「走ってます」と報告する人もいます。3カ月くらいたてば、これまで通り何でも自由に動き回っています。何をしてもいいので、卓球やゴルフなど、みなさんいろいろなことをチャレンジしていますね。ただ、サッカーなどのコンタクトスポーツだけはやってほしくないけれど……。

股関節の痛みに悩んでいる方にメッセージをお願いします。

小林 聡 先生

たいていの人は、股関節が痛くなってから1年くらいは我慢しています。臼蓋形成不全による変形性股関節症の人は、必ず全員、手術が必要だとは限りません。痛みが日常的に出始めたら、まずレントゲンを撮って関節の状態を正しく知ることを勧めます。股関節の変形が初期の段階であれば、筋力トレーニングを頑張れば手術しなくても済む場合もあるのです。運悪くそれでも進行していくようなら、人工股関節置換術といういい方法もあります。
まだ若い人、40代、50代の人に、無理に手術を勧めることはありませんが、それでも、今、痛みを我慢してつらい毎日を過ごすよりは、痛みを取って仕事や育児などを思う存分続けたいと思う人には、最大限の協力を惜しみません。活動的な人生を送りながら、万が一、再置換の可能性はあるかもしれませんが、何につけてもサポートしますから、関節の専門医と一緒に、どんな方法があるか考えましょう。


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