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専門医インタビュー

股関節の痛み、違和感や不具合は早めに股関節の専門医に相談を

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神奈川県

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慶應義塾大学医学部卒業。同大整形外科に入局。川崎市立川崎病院、独立行政法人国立病院機構東京医療センター、済生会宇都宮病院、慶應義塾大学病院、などを経て平成25年4月から当院に

この記事の目次

変形性股関節症の主な治療法について、教えてください。

股関節が痛くて歩きづらいと訴えて受診するのは、50歳代後半ごろの人が多いのですが、このときの年齢と、症状の程度、軟骨の角度などによって、関節がこの先どうなるか、例えば、あと2年たつと関節はこうなるなどの予測をすることができます。関節の痛みと動きを悪くしている原因はなにか、専門家に診てもらい、手術の可能性が高いのか、あるいは手術しなくても大丈夫なのか、適切な判断が必要です。まずは、手術を恐れないで、この先どうなるかをきちんと専門医に診断してもらいましょう。手術をしないで、その人の寿命を生きられる場合もあると思いますが、もう少し年齢が若い人は、いま手術しておけばこの先心配しなくてすむかもしれません。
人生の最後の大事な時期、50、60歳から80歳くらいまでの15~25年を、関節が変形したままで痛みを我慢して過ごしていくか、今思い切って手術をして、痛みから解放され、なんでもできる幸せな毎日を過ごすか、患者さんの選択次第です。ただ、股関節の専門医としては、適切な時期に手術をしたほうが良いと思います。股関節の痛みを放置していると、膝や腰に負担がかかり痛みが生じるだけでなく、神経痛のため、しびれや脚の痛みがでるなど、腰や下肢の他の部位に悪影響がでることもあります。

人工股関節置換術とは、どのような治療法なのでしょうか。

症状が進行した場合の最終的な治療法として、「人工股関節置換術(ちかんじゅつ)」があります。これは軟骨がすり減ってむき出しになった関節を「人工股関節」に置き替えて、正常な動きを取り戻す方法です。人工股関節は、金属でできたボールとそれを上から包み込むような丸いソケット、その2つの間に挟む軟骨の役目をするポリエチレンでできたライナー、そして、それを骨の中に差し込む棒状のステムといわれる部分でできています。 人工股関節は約1ミリ単位のサイズのものが作られているので、その人に一番ぴったりするものを選んで使います。まずは骨を削り、手作業で人工股関節を埋め込みます。人工股関節の固定方法としては、骨セメントを用いる方法と用いない方法があります。骨セメントを使用しないタイプの人工股関節は、表面に特殊な加工(ハイドロキシアパタイト加工など)がされており、術後6カ月~12カ月経つと、加工された表面のギザギザの部分に増殖した骨が入り込み、しっかり固定されるというしくみになっています。また、ネジで固定するタイプもあります。骨がもろい人は注意が必要ですが、そういう場合には骨セメントを充填して固定します。

人工股関節はどのくらい持つのでしょうか。また、気になる手術時間についても教えてください。

人工股関節置換術後のX線

人工股関節は、50年程の歴史があります。今から10年くらい前までは、軟骨に見立てたポリエチレンの部分が、10年で約1ミリ減るといわれていました。20年経つと2ミリ減ることになるため、ポリエチレンは割れてしまいます。ポリエチレンの刺が骨を壊してしまうことも実際にありました。初期の人工股関節は10年しか持ちませんでしたが、今では開発されて30年はもつといわれていますし、まず短期間で壊れるようなインプラントは使いません。
手術自体は、困難なものではありません。症例にもよりますが人工股関節置換術に要する平均時間は60~90分くらいですみます。この手術は出血量が多いのが特徴です。そのために輸血の可能性もありますが、日本では多くの施設で自己血貯血を行っています。自分の血液をあらかじめ採って準備しておき、手術で使います。より満足度の高い手術を受けるためには、手術経験の多い施設で慣れた医師のもとで行うと良いでしょう。


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