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専門医インタビュー

人工膝関節全置換術は痛みを取るための有効な治療法のひとつです

この記事の専門医

林 正典 先生
  • 林 正典 先生
  • 岡山済生会総合病院 岡山済生会外来センター病院 整形外科 診療顧問
  • 086-252-2211

岡山県

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専門分野:膝関節外科・外傷、スポーツ外傷・傷害
資格:日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会スポーツ医、日本リハビリテーション学会臨床認定医、日本整形外科スポーツ医学会評議員、中部日本整形外科災害外科学会評議員、臨床研修指導医養成講習会修了

この記事の目次

人工膝関節全置換術とはどのような手術ですか?

人工膝関節全置換術(虫歯治療のようなもの)

人工膝関節全置換術
(虫歯治療のようなもの)

例えるならば、虫歯の治療のようなものです。虫歯の治療は、歯の傷んだ部分を削って金属などの被せものをしますよね。人工膝関節全置換術も同じで、変形して傷んだ膝関節の表面を削り取り、金属やポリエチレンでできた人工関節を被せます。虫歯の治療と同様、痛いところを取り除いてしまうわけですから、大きな除痛効果が期待できます。手術となると、「怖い」という気持ちが先立ち、なかなか前向きになれない人が多いのですが、虫歯治療の経験は年齢を問わずほとんどの人にあるので、この説明をするとわかりやすく、不安を軽減する効果があるようです。
また、術後の留意点も似ています。硬いものばかりたくさん噛んで歯に負担をかけていると、被せた金属が緩んでしまうことがありますよね。人工関節も同じで、術後に無茶をして飛んだり跳ねたりしていると緩んでしまう可能性があるので、患者さんには注意するようにお伝えしています。

人工関節は進化しているのでしょうか?

人工膝関節全置換術後のレントゲン(屈曲)

人工膝関節全置換術後の
レントゲン(屈曲)

とても進化しています。昔は手術をしても膝が90度程度しか曲がらない時代もありましたが、人工関節の材質やデザインの進化のおかげで、現在では150度くらい膝が曲がり、正座が可能になるケースも少なくありません。ただし、正座は人工関節に大きな負担がかかるため、なるべくしない方がいいでしょう。
また、術後の膝を曲げる(屈曲)角度は、術前の膝の状態が大きく影響します。膝を伸ばす時に使われる筋肉や腱、靭帯は長年使っていないと拘縮していて、もともと屈曲角度が浅いケースでは、術後も正座ができるほど膝を深く曲げることは望めませんが、術前より膝の動きが良くなる人はたくさんいらっしゃいます。

手術にあたって気をつけていることは何ですか?

アライメントを配慮した置換術後のレントゲン

アライメントを配慮した
置換術後のレントゲン

現在は手術器械や人工関節自体の性能が非常に向上しているので、特別なことをする必要はないのですが、「人工関節の形に合わせて正確に関節面の骨を切る」「靭帯などの組織のバランスを取る」「アライメント(関節や人工関節の機能を十分発揮できるような適切な骨の位置関係)を正常な状態に戻す」ということについては、気をつけるようにしています。
骨盤のお椀状のくぼみに丸い骨頭が納まる安定性の高い股関節と違い、膝関節は平らな形の脛骨の上に丸い形の大腿骨が乗っているので、とても不安定です。そこで、膝関節を安定させるために重要な役割を果たすのが、靭帯などの軟部組織です。手術時に緩い膝を作ってしまうと、人工関節に多大なストレスがかかることになるので、バランスの取れた「固い、安定性の良い、長持ちする膝」を作ることにこだわっています。それと同時に、正確に骨を切ることによってO脚や過度なX脚を真っ直ぐに矯正し、正常なアライメントを実現させることが重要だと考えています。


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