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専門医インタビュー

膝の痛み 専門医と一緒に解決策を考えませんか?

増田 賢一 先生

長崎県

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久留米大学医学部 整形外科、聖マリア病院、長崎労災病院などを経て2013年3月より現職
専門医:日本整形外科学会認定専門医、リウマチ財団医登録医、難病指定医、身体障害者指定医、日本骨粗鬆症学会認定医

この記事の目次

年をとるにつれて「膝が痛む」という人は多いとよく耳にします。膝の痛みは日常生活の行動に影響し、仕事や趣味に支障をきたすことがあります。そこで、変形性膝関節症を含む様々な疾患に対する治療法、人工膝関節置換術のタイミングなどについて、増田整形外科の増田賢一理事長にお話をお聞きしました。

膝が痛む原因となる疾患にはどのようなものがありますか?

変形性膝関節症のレントゲン

変形性膝関節症のレントゲン

膝が痛くなる原因には、様々なものがあります。膝の中には半月板というクッションの役割をする軟骨があります。この半月板が加齢による変性や怪我などで傷ついた場合も痛みの原因となります。痛みは有るけど歩けるからと、この状態を放置していると衝撃を吸収する役割の軟骨がすり減り骨同士がぶつかり、痛みや関節の変形が起こってきます。これが高齢者に多い変形性膝関節症です。膝を痛める主な原因としては、仕事や趣味などの日常生活での膝への負担、過体重やO脚などの体型などが挙げられます。長崎県では自宅前に長い坂や階段があるといった、膝に負荷がかかりやすい生活環境が多く、膝の痛みでお悩みの方がたくさんいらっしゃいます。

変形性膝関節症の治療法、日常生活での注意点を教えてください

プールの中で歩行

プールの中で歩行

変形の程度や痛みの強さによって、治療方法は異なります。膝の痛みで受診された場合、レントゲンを撮って膝関節がどれくらい変形しているかを確認し、関節のどこに痛みの原因があるかを触診していきます。また、日常生活のどういった場面で痛みがあり困っているかを詳しくお聞きし、それらの情報を総合的に判断して、患者さんと一緒に治療方法を選択していきます。
症状が軽い場合は、温熱療法や筋力トレーニングなどのリハビリが中心となります。痛み止めのお薬を併用するのも効果的です。痛みのせいで膝をかばって運動不足になると、関節周囲の筋肉が落ち、関節が緩んで不安定になります。サポーターを着けると楽になるという方は、筋力が不足して傷みが出ている可能性があります。そのような場合は、関節がこれ以上不安定にならないよう筋力をつけて関節を安定させるようにします。自宅でのトレーニングとしては、ハーフスクワットやウォーキング、可能ならプールの中で歩行するのがお勧めです。日常生活の中では、階段や坂道をなるべく避け、重い物はできるだけ抱えないようにし膝への負担を減らしましょう。膝の負担を減らすと言う意味では、体重のコントロールは重要です。1Kg 増えれば膝にかかる負担は5Kg増えるといわれていますので、急激な体重増加は膝の痛みの原因になる可能性があります。ただし無理なダイエットは筋肉がやせてしまう原因になりますので避け、バランスのよい食事と適度な運動を行うように心がけることが大切です。
また、注射による治療も効果的です。これまでは膝関節への注射と言えば、ヒアルロン酸の関節注射が行われてきましたが、それ以外にも「ハイドロリリース注射」という治療法があります。超音波(エコー)で確認しながら、膝周囲の筋肉や靭帯周辺に生理食塩水に痛み止めを混ぜたものを注入する方法です。関節外の腱や筋肉が原因の痛みを止める効果があります。その他にも、ステロイドの関節内注射には幹線以外の炎症を抑える効果が期待できます。PRPやAPSといった先進医療(再生医療)も、自由診療となるため高額ではありますが有効な治療法と思われます。
特に高齢者の介護が必要となるきっかけとなる疾患は関節疾患という統計が出ています。膝の痛みが将来自立した生活を送れなくなるきっかけとなる場合があるので、どんな軽い痛みでも我慢せずに整形外科に相談してほしいです。

どのような場合に手術を考えた方がよいでしょうか?

関節鏡手術

関節鏡手術

手術については先程述べたような治療を続けても、膝の痛みのせいで生活や仕事・趣味などが制限される場合、自分が求めているように出来ない時に整形外科医に相談されると良いと思います。膝の手術と言えば人工関節が想像しやすいですが、関節鏡という内視鏡で行うものや軟骨の移植、骨切り術というO脚を矯正して傷みを抑える手術など様々なものがあります。手術を受けられる方の年齢や手術を受ける理由や目的、膝の状態や痛みの原因に合わせて手術方法を選択します。例えば、思い切りスポーツをしたい人と痛み無く歩けるようになりたい人とでは手術の種類が違います。
膝の痛みのせいで外出を控えるようなことがある、旅行や趣味など膝の痛みのせいで何かやりたい事を諦めているという場合もあるかと思われます。
人生100年時代。
膝のせいでやりたいことを諦めず、早目に専門医に相談してほしいと思います。


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