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専門医インタビュー

股関節の痛み 早目に専門医に相談し自分にあった治療を選択しませんか!

この記事の専門医

土井口 祐一 先生

長崎県

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長崎大学医学部 整形外科、長崎大学病院、長崎労災病院、諫早総合病院などを経て2018年4月より現職に。
資格、専門医:医学博士、日本整形外科学会認定専門医、日本人工関節学会評議員、日本整形外科学会認定研修指導医

この記事の目次

人工股関節置換術について、教えてください。

後方アプローチ

変形性股関節症は、車で例えると車を使いすぎてタイヤが磨り減ってしまった状態です。車の場合は、タイヤを新しいものに交換しますが、変形性股関節症の場合は、痛んだ箇所を取り除き、金属やポリエチレンなどでできた人工のものに置き換える方法が人工股関節置換術になります。
人工股関節は、大腿骨側にステムと呼ばれる金属と金属やセラミックでできた骨頭を挿入し、臼蓋にはカップという金属と軟骨の代わりになるポリエチレンが入ります。挿入した人工関節を骨の中で固定させないといけないのですが、その方法には医療用のセメントを用いる場合とそうでない場合があります。主にセメントを用いない方法が行われていますが、骨粗しょう症など骨の状態があまり良くない場合は、セメントを用い固定することもあります。
アプローチといって、股関節に侵入していく方法にもさまざまな方法があります。視野が広く様々な症例に対応できる後方アプローチといってお尻側から侵入していく方法が多く用いられています。後方アプローチだと脱臼が心配されることが多いのですが、その方に合わせたできるだけ大きな骨頭を使ったり、手術中にレントゲン撮影をし、人工関節が正確な位置に設置できているかを確認することや、後方の軟部組織を修復する事により、脱臼のリスクを回避することが可能になってきています。

人工股関節置換術のリスクにはどのようなものがありますか?

人工股関節置換術後のレントゲン

人工股関節置換術後の
レントゲン

発生頻度は少ないですが、手術にはいくつかのリスクが伴います。代表的なものとして、ステムを挿入する際の骨折や手術後の感染などがあります。骨折については、機械式ラスピングマシーンという髄腔をラスピングする器具を用いたり、かなり骨質が悪い場合は、医療用のセメントを用いる方法をとります。感染症のリスクを下げるために手術はクリーンルームで行い、洗浄に消毒液を使用するなどさまざまな対策を行い手術時間も短くすることで発生頻度を抑制することが可能になっています。
また手術後の下肢静脈血栓症を防止するために弾性ストッキングを用いたり、血栓ができやすい体質と分かれば、術後に抗凝固薬を処方し発生の予防に努めます。手術を受ける方は手術や術後に伴うリスクを軽減させるために、血流を悪くするタバコをやめて禁煙してもらうこと、感染を予防するため、術前にしっかりと虫歯など感染の原因になりうる治療を済ませ手術に臨んだほうがよいでしょう。

手術前と後で、痛みはどれくらい違いますか?

術後、2週間程度で退院できますが、その頃には痛みはかなり軽減しています。手術前にあった股関節の痛みは、術後かなり早い段階で消えていると言われる方が多いです。ただし、手術に伴う筋肉や腱の痛みなど、手術前とは違う痛みがあります。以前は術後に使用出来る鎮痛薬も限られ、手術後にかなり痛みをうったえる方もいたのですが、近年では痛みをコントロールする方法も進歩しており、鎮痛薬の内服や点滴などを効果的に使い、手術による痛みをコントロールしやすくなっており、術後の痛みをうったえる方も以前よりも少なくなっています。


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