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専門医インタビュー

ひざ・股関節を正しく把握し専門医と一緒に適切な治療法を考えよう

今村 史明 先生

大阪府

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経歴:平成4年兵庫医科大学医学部卒業、平成10年兵庫医科大学大学院修了
資格:日本整形外科学会会員、日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会認定リウマチ医、日本リウマチ学会専門医、中部整形災害外科学会評議員、医学博士

この記事の目次

高齢化が進む中で、膝や股関節の痛みに悩む人が増えています。保存療法を行っても症状が改善しない場合は、人工関節手術も選択肢の一つとなりますが、何よりも大きく影響するのは、患者さんの治療に取り組む姿勢だといいます。
「もう歳だからと痛みをあきらめていませんか?まずはご自身の痛みの状態を知ることから始めましょう。ライフスタイルや目標に合わせてご自身に合った治療法がきっと見つかるはずです」とアドバイスする今村史明先生にお話を伺いました。

膝や股関節が痛んだり、動かしづらくなる原因は何ですか?

変形性膝関節症/変形性股関節症

   変形性膝関節症       変形性股関節症

膝に症状が出る原因で中高年に多いのは「変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)」です。これは、膝関節の中でクッションの役目を果たす軟骨が加齢によって徐々にすり減り、骨同士が直接当たるようになって痛みや動かしづらさを生じる疾患です。
一方、活動性の高い若い人の場合は、半月板(はんげつばん)や靭帯(じんたい)を損傷することで痛みが出ることがあります。また関節リウマチのように膝関節に炎症がおこることで、水がたまったり滑膜炎(かつまくえん)がおこり痛みが出ることもあります。股関節も膝関節と同じく荷重関節なので、経年的な変化である「変形性股関節症」が主な原因となります。ただし、長年にわたって関節を使い続けることが原因で発症する一次性が多い膝関節に対し、股関節の場合は、大腿骨(だいたいこつ=太ももの骨)の先端にある大腿骨頭(だいたいこっとう)を覆っている骨盤側の臼蓋(きゅうがい)のかぶりがもともと浅い「臼蓋形成不全(きゅうがいけいせいふぜん)」が原因で変形が進む、二次性が多いのが特徴です。
軟骨自体には神経がないので、かなりすり減らないと痛みを感じないことに加え、日本人は少々の痛みは我慢してしまうことが多いため、膝・股関節ともに受診時にはかなり症状が進んでしまっているケースも少なくありません。

どのような治療法があるのでしょうか

筋力トレーニング

筋力トレーニング

大きく分けて保存療法と手術療法があります。膝・股関節ともに、まずは痛み止めの薬や装具装着、リハビリといった保存療法から始めます。リハビリでは可動域訓練や筋力トレーニングを行い、歩きかたのバランスを整えていきます。こういった保存療法で痛みや変形の進行が抑制でき、日常生活動作を支障なく行うことができれば、そのまま様子を見ていって良いでしょう。
一方、手術療法を検討する場合に大切になるのは、患者さんが「何を求めているか」「どういった生活を望んでいるか」です。保存療法で改善がみられず日常生活に支障が出てきた場合も、もちろん手術を考えるタイミングですが、それだけでなく、「以前のように旅行に行きたい」「孫とスポーツを観戦したい」といった目標も手術を考える理由となると考えています。
治療を進めていく中で、ご自身がどのような生活を目指しているのか、よく主治医の先生と話し合ってみてください。痛みの症状やライフスタイルは人それぞれ。一人ひとりに合った治療法を見つけることが大切です。

変形性関節症にはどのような手術を行うのですか?

人工股関節置換術

人工股関節置換術

骨切り術

骨切り術

関節リウマチのように膝関節に滑膜炎がおこった場合は、関節鏡を使って炎症を引きおこしている滑膜を切除する手術があります。
その他に、膝の片側(日本人はO脚が多いので主に内側)だけが悪い場合は、脛骨(けいこつ=すねの骨)を切ってO脚をX脚方向に矯正し、体重のかかっていた内側の負担を減らす骨切り術を行います。骨切り術は脚の形を改善することで、痛みが軽減されるだけでなく、軟骨を悪化させにくい状態にすることができます。骨がしっかりとくっついた後はスポーツなどの制限も低く、活動性の高い70歳未満の人が適応となることが多いです。
股関節では骨盤の一部を切って臼蓋のかぶりを深くする骨切り術があり、一般的に年齢が比較的若く、軟骨が残っている初期の場合に行われます。膝・股関節ともに高齢で変形が強く進んでいる場合は、人工関節置換術が選択肢となります。


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