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専門医インタビュー

ひざ・股関節を正しく把握し専門医と一緒に適切な治療法を考えよう

この記事の専門医

今村 史明 先生

大阪府

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経歴:平成4年兵庫医科大学医学部卒業、平成10年兵庫医科大学大学院修了
資格:日本整形外科学会会員、日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会認定リウマチ医、日本リウマチ学会専門医、中部整形災害外科学会評議員、医学博士

この記事の目次

人工関節置換術(じんこうかんせつちかんじゅつ)とはどのような手術ですか?

部分置換術と全置換術

部分置換術と全置換術

変形して傷んだ関節の骨の表面を取り除き、金属とポリエチレンでできた人工関節に置き換える手術です。膝の場合、傷んだ片側だけを置き換える部分置換術と、すべてを置き換える全置換術があります。
片側だけが悪く(O脚の場合は内側のみ)、外側の変形も比較的軽度で、軟骨が残存し靭帯がきちんと機能している場合は部分置換術で対応することができます。部分置換術はすべての靭帯を温存できるため、膝本来の機能と感覚を残しつつより自然な動きが可能です。一方、内側も外側も傷んでいる場合や変形が強い場合、可動域制限が著明な場合などは、膝関節の表面全てを置き換える全置換術が適応となります。一部の靭帯を切除する必要がありますが、除痛効果が高く、高度な変形の人にも対応が可能です。

金属アレルギーや持病のある人、血栓のできやすい人でも人工関節置換術は可能ですか?

金属アレルギーに関しては、事前にアレルギー検査をして反応のでない素材を選択します。金属が使えない場合でも、セラミック製や、金属表面をコーティング処理した人工関節で対応できることがあるので専門医にご相談ください。
持病をお持ちの患者さんは、その持病の専門医と相談し、手術を進めるにあたり症状のコントロールが可能かどうかで判断します。糖尿病や心臓病でコントロールが難しい場合は、まずは持病の入院治療をしてから手術を考えることになります。
日本人は血栓(けっせん=血液のかたまり)が起こりにくい体質と考えられていましたが、食生活の変化などもあり、状況が以前と変わりつつあります。人工関節置換術後にも血栓ができるケースがあり、確率は低いですが、脚の血栓が肺に飛んで詰まると命にかかわることもありますので対策が必要です。術前には下肢の超音波検査を行い血栓がないか確認して、すでに血栓ができている人には必要に応じてその治療を優先していただき、手術を進めていきます。術後も抗凝固薬(こうぎょうこやく)を経口投与したりリハビリテーションでしっかり脚を動かすことで発生を予防しています。

金属表面をコーティング処理した人工膝関節の一例
金属表面をコーティング処理した人工膝関節の一例
人工膝関節全置換術後のレントゲン
人工膝関節全置換術後のレントゲン

ナビゲーションシステムを使った手術について教えてください

患者さんそれぞれの関節に対し、正確な骨切りを行い、適切な位置に適切な角度で人工関節を設置するために、ナビゲーションシステムを使用します。
術前ではCT検査データをコンピュータに取り込み、骨を切る角度や人工関節の設置位置など、個々の患者さんに合った3Dの計画を立てます。術中は骨と手術器具に位置情報を知らせるアンテナを立てることで、それをもとに赤外線カメラで骨と手術器具の距離や角度を計算します。その正確な数字と画像がモニターに表示され、術前計画通りの適切な位置・角度に人工関節を設置することができるようサポートしてくれます。
人工股関節置換術の場合、脱臼を起こしにくい安定した股関節が得られますので、良好な長期成績が期待できます。
人工膝関節置換術では、軟部組織の影響などで術前計画どおりにはいかないこともあります。ナビゲーションシステムを使うとそこで生じた誤差もカバーしてくれるため、より高い精度での手術が可能となるのです。

脊椎骨切り術
ナビゲーションシステムを使用した人工膝関節置換術
ナビゲーションシステムを使用した人工膝関節置換術

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