関節治療の専門医に聞いてみました!

第285回 肩や膝の痛み関節の状態を正しく
把握して適切な
治療を受けましょう

  • はし ぐち しん 先生
  • 西能病院/整形外科センター西能クリニック 整形外科部長
  • 076-422-2211
ドクター
プロフィール
専門分野:関節外科、スポーツ障害、肩関節外科、骨軟部腫瘍治療
資格:日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会認定リウマチ医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター、カターレ富山チームドクター
エリア 富山県タグ
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橋口 津 先生

膝の痛みの原因となる主な疾患は何ですか?

半月板

代表的な疾患は「変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)」ですが、そこに至るまでの経緯として半月板損傷(はんげつばんそんしょう)がきっかけとなることが多いようです。半月板は膝関節の中で体重の負荷を分散させるクッションの役目を果たし、膝の円滑な運動を助けていますが、それが外傷や加齢によって変性していくことで、半月板が保護している軟骨が傷み、軟骨の土台となっている骨が変形していくというケースがよく見られます。歩き始めや階段の昇り降りに膝の痛みを感じるようになったら、一度は整形外科を受診していただきたいですね。軽く考えていた症状が、実際はかなり進行していたというケースも少なくありません。受診して現在の膝の状態を正しく把握することで、今後の生活の仕方などへの心構えもしっかりと持つことができると思います。例えば、膝痛のある人の多くに過体重の傾向が見られますが、減量を意識するだけでも症状の改善への大きな一歩となります。

変形性膝関節症にはどのような治療を行うのでしょう。日常生活で避けた方がいい動作などはありますか?

水中ウオーキング

水中ウオーキング

まずは痛み止めの薬、関節内注射、足底板(そくていばん)などの装具、筋力トレーニング、減量といった保存療法から始めます。中でも筋力トレーニングなどの運動療法は治療のベースとなります。運動療法で特にお勧めなのは水中ウオーキングです。浮力によって荷重負荷は約三分の一減少し、水圧によって筋肉への負荷は増大するので、効率的にトレーニングすることができます。多くの場合、これらの保存療法で痛みの改善や変形の抑制が期待できます。また、「正座は避けたほういいですか」とよく聞かれますが、正座の姿勢がただちに体によくないというわけではありません。ただし、頻繁に正座を繰り返す生活が膝への負担になることは確かです。また、あぐらも内側の半月板が痛んでいる人にとっては負担になります。歳を重ねていく今後の生活を考えて、可能であれば洋式の生活にシフトしていくことも大切なのではないでしょうか。

手術が適応だと判断される目安を教えてください

全置換術と単顆置換術

全置換術と単顆置換術

ADL(日常生活動作)やQOL(生活の質)を基準に考えます。旅行や毎日の買い物ができないなど、ご自分の活動範囲や活動意欲が大きく制限されるような痛みになってきた時は、手術でADLやQOLを回復させることも選択肢の一つとなるでしょう。手術には「骨切り術(こつきりじゅつ)」と「人工膝関節置換術(じんこうひざかんせつちかんじゅつ)」があります。
活動性の高い50代までの方には、骨を切って体重のかかる部位を傷んでいない側に変えることで痛みを取り除く、骨切り術がよい適応だといわれています。また、60代以降の人には、変形して傷んだ膝関節の骨の表面を取り除き、金属やポリエチレンなどでできた人工膝関節に置き換える、人工膝関節置換術が主な適応となります。人工膝関節置換術には、膝の片側だけが傷んでいる場合に行われる単顆置換術(たんかちかんじゅつ)と表面全体を置き換える全置換術(ぜんちかんじゅつ)がありますが、単顆置換術は筋肉をほとんど切らず靭帯も温存できるため、身体への負担が少なく術後の可動域が良好なのが特徴です。一方、全置換術は、可動域に制限はあるものの耐久性に優れ、近年では約30年は持つであろうといわれています。単顆置換術は、時を経て人工関節や反対側の膝が傷んできた場合は、全置換術に入れ替えることも可能です。

合併症とその予防策にはどんなものがありますか?

リハビリテーションルーム

リハビリテーションルーム

非常に確率は低いですが、感染症や血栓症、塞栓症(そくせんしょう)が起こることがあります。感染症対策としては、手術は特殊な手術服を着用してクリーンルームで行い、イソジンを用いた洗浄、ドレープの使用など、最大限の予防策を講じています。
血栓症、塞栓症の予防としては、まずは、術後にフットポンプを用いて血流を滞らせないようにします。さらに、早期にリハビリを開始し、足関節を動かすことで早くから腓腹筋(ひふくきん)を動かして予防します。


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