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専門医インタビュー

どうしても肩があがらない人への新たな治療選択肢 リバース型人工肩関節

この記事の専門医

菅谷 啓之 先生

東京都

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長年勤務した船橋整形外科病院を8月で辞し,2020年9月1日に東京・池袋に東京スポーツ&整形外科クリニックをオープンした.
専門分野:肩関節鏡視下手術,肘関節鏡視下手術,肩関節・肘関節外科,スポーツ整形外科
役職など:米国ハワイ大学医学部客員教授、PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)専門委員、東京女子医科大学整形外科客員教授、千葉大学整形外科臨床教授
学会等:ASES(American Shoulder Elbow Surgeons)Corresponding member;日本肩関節学会 理事,リバース型人工肩関節ガイドライン運用委員会 担当理事,国際委員会担当理事;日本整形外科スポーツ医学会 理事,国際委員会委員長,総務委員;JOSKAS(Japanese Orthopaedic Society of Knee, Arthroscopy and Sports Medicine)代議員・広報委員会 委員,肩関節鏡視下手術研究会 世話人など

この記事の目次

術後のリハビリについて教えてください。

リバース型人工肩関節はもともと腱板が機能していないことを前提にした術式ですので、特別なリハビリを行わなくても、多くの人が術後早いうちにある程度腕を上げ下ろしできるようになります。3~4週間は装具を使って暮らした方が、患者さん自身が楽なのですが、がっちりと固定するのではなく、できるだけ制限をかけず積極的に動かしていきます。一方、従来型の人工肩関節では、術後も腱板を使って肩を動かすため、リハビリでその機能を取り戻していくことが大切です。少しずつ可動域を広げていくとともに、正しい関節位置を保てるようインナーマッスルを鍛えていきます。
また、回復の度合いはもともとの筋力にも影響されます。一般に男性は、筋肉などのボリュームが女性よりも大きいため、回復が早く進みます。女性では、筋肉の張りや緊張が残ることがありますので、リハビリでしっかりとサポートしていきます。

術後、日常生活で気をつけることはありますか?

日常生活では、特に転ばないように気を付けてください。転んで人工関節が入った部分を骨折すると、手術が必要になり難度の高い処置が求められてきます。
それ以外では、普段の暮らしに特別な制限はありません。術後の活動量を落とさないことは、肩だけでなくトータルの健康を考えても大切です。スポーツは、ラグビーなどの激しいコンタクトスポーツは避けるべきですが、それ以外であればゴルフやテニスを含めて許可しています。ご自身で取り組みたいスポーツや気になることがあれば、担当医とよく話し合ってみましょう。

肩の痛みに悩む方へのメッセージをお願いします。

菅谷 啓之 先生

肩の痛みが続いたり、腕が上がりにくいと感じた場合には「歳のせいだから仕方ない」と放置せず、一度肩関節の専門医を訪ねることをお勧めします。一般の整形外科でしばらく治療を受けているものの、経過がよくないという場合も同様です。腱板断裂が五十肩として見過ごされているようなケースがしばしばあり、症状が軽快しなければ専門医にきちんと調べてもらうことが大切です。現在通っているクリニックに紹介を依頼してもよいと思います。
肩関節の病気は、手術以外の保存療法だけでよくなることも多々あります。一般の整形外科では改善せず、手術を念頭に紹介された専門医のもとであらためてリハビリを続けたところ、結果として手術が不要になったという例もあります。痛みの原因を確かめ、ご自身の状態を知り、適切な治療法を探していきましょう。


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