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専門医インタビュー

治療法は進化中です。股関節の痛みの原因を知って、自分らしい治療法を選びませんか。

この記事の専門医

笠井 健広 先生
  • 笠井 健広 先生
  • 中部ろうさい病院 関節外科部長
  • 052-652-5511

愛知県

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専門医:日本専門医機構 認定整形外科専門医、日本整形外科学会 認定運動器リハビリテーション医、臨床研修指導医

この記事の目次

人工股関節置換術とは、どんな手術ですか?

人工股関節置換術の流れ

人工股関節置換術は、関節の傷んだ骨の表面を取り除き、金属やポリエチレン製の人工関節に置き換える手術です。傷んだ骨頭を切り、そこに代わりになる金属やセラミック製のステムを挿入します。次に骨盤側の臼蓋を削って受け皿となる金属製のカップを固定し、軟骨の代わりとなるポリエチレンを入れます。この2つを組み合わせることで人工関節として機能します。
軟骨の役割を果たすポリエチレンが摩耗(まもう)すると入れ替えが必要でしたが、素材が進化して日常動作では摩耗しにくくなりました。耐用年数は20~30年といわれ、比較的若い世代にも選択しやすくなって います。

人工股関節置換術のアプローチ法の違いについて教えてください。

前方アプローチ、後方アプローチ、側方アプローチ

手術のとき股関節に侵入する方法として、大腿骨の前から侵入する「前方アプローチ」、大腿骨の後ろから侵入する「後方アプローチ」、横からの「側方アプローチ」の3つに大きく分けられ、世界的には後方アプローチが主流です。
それぞれに特徴がある中、まだ日本では2割程度しか行われていない前方アプローチ(ALSアプローチ)は、筋肉や靭帯(じんたい)などを切らずによけながら侵入でき、傷口も比較的小さいのが特徴です。傷口が小さく、関節周りの組織を温存できる点から、術後早期のスムーズな回復が見込めてリハビリを進めやすくなりました。そのため社会復帰がこれまでより早く行え、仕事や育児、介護などでなかなか長期間手術に時間をとれない方にとっては有効な手術方法ではないでしょうか。さらに人工股関節置換術特有のリスクである脱臼についても、前方アプローチでは筋肉や靭帯を温存することで、脱臼を防ぎやすくなっています。

人工股関節置換術で、知っておいた方がいいことはありますか?

人工股関節の一例

人工股関節の一例

手術で起こりえるリスクの1つが、感染のリスクです。手術で感染をゼロにするのは不可能ですが、使用する器具の消毒や抗生剤を使うといったガイドラインを徹底し、しっかりと予防策を取って手術を行います。とくに感染のリスクを高めるのが糖尿病で、中には自覚症状のない“隠れ糖尿病”の方もいます。そのため手術前には血液検査を行い、もしも糖尿病の場合は、内科などと連携し血糖値をきちんとコントロールしてから手術にのぞむことになります。
術後は足の静脈で血栓(けっせん)(血の塊)ができやすいため、「深部静脈血栓症(しんぶじょうみゃくけっせんしょう)」の予防も大切です。飛行機のエコノミー症候群と同じで、血栓が小さければ足のむくみ程度ですが、大きいと肺動脈につまって命にかかわる可能性もあります。弾性(だんせい)ストッキングというきつめのストッキングやフットポンプによるマッサージ、血液をさらさらにする抗凝固薬(こうぎょうこやく)を服用するほか、手術後なるべく早期にリハビリを行うのも血栓予防に役立ちます。
また、前方アプローチという手術法によって脱臼の頻度は減っていますが、リスクがゼロになるわけではないので、お姉さん座りなど脱臼しやすい姿勢は避けましょう。


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