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専門医インタビュー

股関節の痛みは我慢しないで専門医に相談を 早期に原因が特定できれば治療の選択肢が広がります

この記事の専門医

平野 優樹 先生
  • 平野 優樹 先生
  • 新潟大学医歯学総合病院 新潟大学大学院 医歯学総合研究科 機能再建医学講座 整形外科学分野 専任助教
  • 025-227-2460

新潟県

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専門分野:股関節・整形外科一般
資格:日本整形外科学会整形外科専門医

この記事の目次

起こり得る合併症とその予防策にはどのようなものがありますか?

弾性ストッキング

弾性ストッキング

人工股関節置換術の主な合併症としては、脱臼、感染、神経や血管の損傷、血栓症などがあります。脱臼は筋肉を切らないアプローチ法を導入することで、かなり軽減することができます。術中感染を防ぐためにクリーンルームという特別な手術室で特殊な手術着を着て手術を行います。糖尿病の方は感染リスクが高いため血糖値を良好な状態に保つ必要があり、あわせて虫歯や水虫の菌が原因で感染することもあるといわれていますので、術前にしっかりと治療していただくとともに、術後に発症した場合も速やかな治療が必要になります。神経や血管の近くに手術器具を挿入せず慎重に手術を行うことで、神経や血管の損傷の予防ができます。血栓症に対しては術後のフットポンプや弾性ストッキングの使用、抗凝固薬の投与などで血栓を予防するなど、さまざまな方法で合併症を予防する方法がとられています。

術後のリハビリから退院までの流れを教えてください

リハビリ

一般的な入院期間は10日から2週間程度です。手術翌日にベッド脇に立つことからリハビリを開始し、平行棒や歩行器を使い歩行訓練を経て、1本杖で歩けるようになって退院となるケースが多いようです。もちろん、患者さんの住環境に合わせた生活動作訓練も欠かせません。和室の場合は負担のかからない立ち座り動作の練習や、浴槽が深い場合は股関節を深く曲げる練習をリハビリで行い、自宅で生活できることを確認してから退院していただきます。
生活の中で正座すること自体は問題ありませんが、正座に至るまでの姿勢がその方によっては脱臼リスクを高める可能性もあるので、術後3カ月くらいは注意する必要があります。また靴下を履いたり足の爪を切ったりする時に、膝を内側にして股関節を曲げる方がいますが、股関節が不安定になって脱臼する可能性がありますので、膝を外側にした「がに股」の姿勢で行うようにしてください。無理にお勧めすることはありませんが、今後さらに歳を重ねていくことも考えて、股関節への負担が少ないベッドや椅子といった洋式の生活を取り入れてみてもいいかもしれません。運動やスポーツは、ジャンプなど人工関節に強い衝撃が加わる動作は避けたほうがいいでしょう。筋力トレーニングは術後の股関節にも効果的です。浮力によって股関節に負担がかからない水泳や水中歩行は積極的に行うことをお勧めします。

股関節の痛みに悩んでいる方や手術を迷っている方へアドバイスをお願いします

股関節や太もも、お尻、腰などに痛みがある方は、我慢せずにまずは一度、股関節を専門にする医師に診てもらいましょう。原因となる疾患が特定できれば、早期に適切な治療を開始することで症状が改善し、将来的にも手術を回避できる可能性は十分にあります。また、股関節に異常がなく一過性の痛みであることがわかれば、精神的にも安心できるでしょう。症状が進行して手術が適応と診断された場合、不安で迷われるのは当然です。手術は、医療機関によって術式が違ったり、整形外科医それぞれの考え方が異なることもあります。何が不安なのかを正直に伝え、それに対してしっかりと回答してくれる医師を選び、信頼関係を築くことが、まずは手術への第一歩だと思います。


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