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専門医インタビュー

股関節の病気は痛みの出方がさまざま 日常で不便を感じたら早めに専門医へ相談を

この記事の専門医

森田 充浩 先生

愛知県

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1992年防衛医科大学校医学科卒業後、ウオルターリード米陸軍病院、米国立衛生研究所(NIH)留学、2003年防衛医科大学校医学研究科卒業、自衛隊中央病院などを経て2013年より現職に。
専門分野:股関節外科、関節リウマチ、骨軟骨代謝、人工関節、老年病
専門医:日本専門医機構認定 整形外科専門医、日本リウマチ学会 専門医・指導医、日本老年医学会老年病 専門医・指導医、日本内科学会 認定内科医、インフェクションコントロールドクター ICD、日本人工関節学会 認定医ほか

この記事の目次

人工股関節置換術の合併症対策について教えてください

弾性ストッキング

感染や出血、血栓症といった合併症のリスクがあります。感染対策として、患者さんは手術当日に入浴していただき皮膚をきれいな状態に保つようにして頂きます。また手術中から術後翌日まで抗菌剤の点滴投与を行い、抜糸の必要がない抗菌糸を使用し傷口を縫います。出血対策では止血剤を投与し、一度に両方の股関節を手術する場合は、事前に血液を採血し(自己血貯血)輸血が必要な場合に対応します。血栓症を予防するために、事前に下肢の超音波検査を行い血栓が見つかれば血栓を溶かす治療を行い、手術後は抗凝固薬や弾性ストッキングなどで予防します。

手術後や退院後は、どんな点に気をつければいいですか?

階段昇降訓練

手術の翌日から、理学療法士の指導のもとリハビリを開始します。歩行や階段昇降、エアロバイクといった訓練を続け、入院前に自力歩行ができていれば、退院時には杖なしで歩くことができるのが理想です。日常生活に戻ってからは、転倒して骨折しないように気を付けてください。そのために最初のころは無理をしないでゆっくり歩いたり、杖を使ったり、家の中はバリアフリー化し、できるだけ転ばないようにする工夫が大切です。
スポーツは激しい接触を伴わないものであれば可能です。ゴルフや卓球、テニスをされている方もいますし、サイクリングや水泳は、全体の筋力を鍛えながら基礎体力を上げられるのでお勧めす。中にはジョギングをされている方もいますので、医師に相談しながらご自身が望む趣味やスポーツに挑戦していただきたいです。
退院後は人工関節の状態を確認するために、定期的に受診するようにしましょう。定期検査では、レントゲンで人工関節の状態を確認するだけでなく、正しく歩けているかという確認や日常生活で困っていることがないかなどの相談を受けます。手術をしたらそれで終わりではありませんので、気軽に相談できる一生付き合っていける医師を探すことも大事だと思います。

最後に、股関節の痛みに悩んでいる方にメッセージをお願いします

股関節周辺の痛みでお悩みの場合、どういう病院で診てもらったらいいのか、どんな治療すればいいのか、分からない方がほとんどだと思います。まずはお近くの整形外科で診断していただき、痛みの原因を正しく突き止めてもらいたいと思います。股関節に原因があるという診断を受け、保存治療をある程度続けても症状が改善しないようであれば、外科的治療を行える専門の病院を紹介してもらうとよいですね。ちなみに大学病院だからといっていきなり難しい話をすることはなく、専門医は「どんな治療があるのか」という選択肢を分かりやすくお伝えします。「即手術になるかも」と心配する声をよく聞きますが、手術を無理強いすることは決してなく、手術以外に痛みを取る方法も選択肢としてお伝えします。大切なのは、患者さんと医師との人間関係です。しっかり話し合い、人となり、治療方針に納得してから自分に合った治療を選んでほしいですね。股関節の痛みによって、日常生活で我慢することが多い方こそ、整形外科専門医を気軽に活用していただければと思います。


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