関節治療の専門医に聞いてみました!

第349回 膝や股関節の痛み人工関節の手術は進歩しています
早めに専門医に相談を

ドクター
プロフィール
2004年 横浜市立大学医学部卒業。横浜市立大学附属病院股関節クリニック、横浜南共済病院人工関節センター、横須賀共済病院などを経て、2021年4月より現職。2016年 パリのClinique Aragoに留学。
専門医資格等:医学博士、日本整形外科学会整形外科専門医・指導医、日本整形外科学会認定リウマチ医、日本人工関節学会認定医、日本リウマチ学会リウマチ専門医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター、義肢装具等適合判定医、身体障害者福祉法第15条指定医、難病指定医、臨床研修指導医
エリア 神奈川県タグ
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石田 崇 先生

変形性膝関節症や股関節症は、中高年の方に多い膝や股関節が痛む原因です。しかし早めに治療を開始できれば、手術を回避できることもあるようです。また代表的な手術である人工関節置換術は進歩しており、一度に悪くなっている両方の膝や股関節を手術できるようにもなっています。今回は、進歩している人工関節手術について済生会横浜市南部病院整形外科副部長、人工関節センター長の石田崇先生に詳しくうかがいました。

変形性膝・股関節症になる原因や、受診のタイミングを教えてください

寛骨臼形成不全

寛骨臼形成不全

変形性膝関節症や股関節症は、加齢によって軟骨がすり減り痛みが出てくる疾患ですが、進行すると骨が削れ変形することがあります。膝の場合は加齢が主な原因になりますが、股関節の場合、日本人では寛骨臼形成不全(かんこつきゅうけいせいふぜん)と呼ばれる、太ももの骨(大腿骨頭(こっとう))を受け止める骨盤側の屋根(寛骨臼)が浅く、一部に負担がかかり軟骨がすり減りやすくなります。
変形性膝関節症や股関節症の症状は少しずつ進行していきます。そのため、症状が進行してきても、ご本人が自覚されにくい場合があり、受診のタイミングが遅れることがあります。また膝や股関節が痛む原因は変形性膝関節症や股関節症だけでなく、様々な原因が考えられます。まずは専門医にしっかり診断してもらい、ご自身の状態を確認することが大切です。

変形性膝関節症や股関節症は、どのような治療から始めるのですか?

筋力トレーニング

まずは色々な鎮痛薬を組み合わせ、痛みを緩和させるとともに、関節周りの筋力を鍛えるトレーニングや関節が固くならないようにストレッチを行います。筋力トレーニングは、太ももにある大腿四頭筋をしっかり鍛えることが重要で、寝た状態で脚先に重りを付け、脚を上げる方法があります。また股関節の場合は、お尻にある中殿筋を鍛えるために、横向きに寝て脚を上げるなどご自宅でも簡単にできるトレーニングがあります。膝が伸びにくい、曲がりにくい場合には、お風呂上りに膝を上から抑え込んだり、膝を抱え込み深く曲げるストレッチがお勧めです。そのほかに膝の場合は、サポーターや医療用の靴の中敷き(足底版)で荷重がかかる部分をかえる方法や、関節内にヒアルロン酸を注射することがあります。

色々治療を続けても症状が改善しない場合は、手術を考えたほうが良いのでしょうか?

痛みが出てきたら早めに専門医に相談しましょう

痛みが出てきたら早めに専門医に相談しましょう

膝や股関節の変形が進み、色々な治療を行ってみたけれど痛みが軽減せず、日常生活に支障がでるようでしたら手術を考えてみても良いのではないでしょうか。代表的な手術には人工関節置換術があります。以前は、大学病院など大きな病院で行う最後の手段と言われてきました。しかし現在では多くの施設で行われている一般的な治療になっているだけでなく、手術方法が進歩し、手術時間が短く身体に負担が少ない手術になってきました。ただ人工関節の手術では、関節の骨を治療できても筋肉は治療できないのです。ガマンにガマンを重ね、筋力が落ちてから手術を希望される方もいらっしゃいますが、手術後の回復に時間がかかります。手術には抵抗がある方が多いと思います。しかし手術を受けた方からは、もっと早く受ければ良かったと言われることが多くあります。手術を受けるか受けないかに関わらず、痛みが出てきたら早めに専門医に相談して欲しいと思います。


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