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専門医インタビュー

股関節・ひざの痛み あきらめずに相談を! 早期の受診と診断で改善を目指しましょう

牧之段 淳 先生

京都府

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1991年 金沢大学医学部卒業
2020年 西陣病院 副院長 兼 整形外科主任部長
資格:日本整形外科学会専門医、日本リハビリテーション医学会認定臨床医、京都府立医科大学整形外科客員講師、医学博士

この記事の目次

 
年齢を重ねるにつれて歩き出し、立ち座りで股関節が痛い、O脚があってひざが痛いなど関節のお悩みはありませんか?今回は、気になる痛みの原因と人工関節を使った手術について西陣病院の牧之段淳先生にお話をうかがいました。
 

股関節が痛くなる原因は何ですか?

寛骨臼形成不全

寛骨臼形成不全

中高年の方に多いのは寛骨臼形成不全(かんこつきゅうけいせいふぜん)にともなう変形性股関節症(へんけいせいこかんせつしょう)です。股関節は骨盤側にある寛骨臼と太ももの骨側にある大腿骨頭(だいたいこっとう)、それらの間にある軟骨(なんこつ)でできています。寛骨臼形成不全は、寛骨臼の形が生まれつきや発育不良で小さく、大腿骨頭を十分に覆えていない状態をいいます。健康な股関節に比べると脱臼しやすい状態(亜脱臼)となり、生活動作による力が加わると部分的に負荷が集中してしまいます。このサイクルがくり返し行われることで、軟骨がすり減っていき股関節の変形が生じる変形性股関節症に発展します。変形性股関節症になると、歩き出しや立ち座りで痛みを生じたり、靴下の着脱や足の爪切りがしにくいなど日常生活に制限が出てきます。

その他に考えられる原因はありますか?

レントゲン検査

股関節の疾患はその他に関節リウマチ、大腿骨頭の一部が壊死する大腿骨頭壊死症、半年~1年という速度で股関節の変形が進んでしまう急速破壊型股関節症などがあります。股関節付近の痛みで受診される方の中には、腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)という腰の疾患が原因だったという方や、変形性股関節症と腰部脊柱管狭窄症どちらも発症していたという方も少なくありません。お尻や太ももが痛かったりしびれがあったりすると腰の疾患の可能性もあります。
このように痛みの原因は多岐にわたります。レントゲン検査やMRI検査など詳しく調べてもらうことで適切な評価を行うことができます。痛みがあり日常生活に支障をきたしている場合は、早い段階で整形外科へ受診されることをお勧めします。

ひざが痛くなる原因は何ですか?

正常/変形性膝関節症(進行期)

代表的な疾患として変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)があげられます。年齢を重ねるとともに軟骨がすり減りひざ関節が変形する疾患で、その原因はさまざまです。例えば、O脚が進むことでひざの内側に集中的に負荷がかかってしまう、体重が増えてひざに大きく負担がかかっている、昔スポーツでケガをしたことがありそこから変形が進むなどの原因があります。
ひざの痛みは「年だから仕方ない」と我慢していらっしゃる方も多いのではないでしょうか?しかし、変形が進行していくと動かせる範囲が狭くなっていき、日常生活の中で転倒のリスクが高くなるので注意が必要です。中でも多いのが変形性膝関節症を持った方が転倒し大腿骨近位部骨折をしてしまうケースです。大腿骨近位部骨折とは太ももの付け根部分の骨折のことで、高齢の方に多い骨折です。変形性膝関節症があることでO脚が強かったり筋力が低下していると脚が上がらず、段差につまずいて転倒してしまいます。また骨折部分の手術をしてリハビリを開始してもひざの痛みで歩くことができず、リハビリが思うように進まないこともあります。このような状態にならないためにも、痛みにお悩みの方は早い段階で整形外科を受診し、ご自身のひざの状態や治療について考えていくことが大切なのです。

変形性股関節症、変形性膝関節症の治療について教えてください

体重コントロール

変形性股関節症、変形性膝関節症ともに手術以外の方法(保存療法)と手術療法があります。保存療法は消炎鎮痛剤の服用やリハビリ、体重コントロールなどが代表的な方法です。ひざの場合はヒアルロン酸注射をおこなったり、足底板(インソール)を使った装具療法もあります。痛みを抑える薬は現在ではさまざまな種類が登場し、多くの患者さんが薬物治療に取り組んでいらっしゃいます。ただし、消炎鎮痛剤の中には胃腸や腎臓に負担をかけるものもありますから、長期的な服用は避けるようにして、慢性的に症状が続くようであれば別の種類のものを使うのが一般的です。
保存療法を続けたけれど症状が改善しない、痛みで日常生活に支障をきたしている場合は手術を検討します。手術はさまざまな方法がありますが、高齢の方で変形による痛みがある場合、人工関節を使った手術が実施されています。


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