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専門医インタビュー

股関節・ひざの痛み あきらめずに相談を! 早期の受診と診断で改善を目指しましょう

この記事の専門医

牧之段 淳 先生

京都府

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1991年 金沢大学医学部卒業
2020年 西陣病院 副院長 兼 整形外科主任部長
資格:日本整形外科学会専門医、日本リハビリテーション医学会認定臨床医、京都府立医科大学整形外科客員講師、医学博士

この記事の目次

人工股関節置換術について教えてください

後方アプローチ/側方アプローチ/前方アプローチ

股関節の変形した部分を切除し人工関節に置き換える手術です。人工関節は金属やポリエチレンでできています。痛みの原因を取り除くことで、痛みの改善を期待することができます。近年、人工関節の素材やデザインが改良され耐用年数が大きく増加したことや手術方法の確立により、幅広い年代の方に実施されています。
人工股関節置換術は多くのアプローチ方法が開発されています。アプローチ方法とは、股関節のどこから入って人工関節を設置するかという進入経路のことです。太ももの後ろ側から進入する後方アプローチ、横から進入する側方アプローチ、前側から進入する前方アプローチなどがあります。それぞれ筋肉を切る量、手術後の注意すべき動作(脱臼しやすい動作)などが異なりメリットデメリットが存在します。ここまでアプローチ方法が発達したのは、人工関節の脱臼リスクを低減させるためです。人工股関節置換術が始まった当初は、筋肉を大きく切開して人工関節を設置していたことから、手術後に人工関節が外れて脱臼してしまうことがありました。現在はできるだけ筋肉を傷つけず温存する方法が普及しつつあり、脱臼の対策は強化されてきています。幅広い症例に対応できるよう多くの方法が登場したことは技術の進歩といえるでしょう。

人工膝関節置換術について教えてください

ポータブルナビゲーションシステム

ポータブルナビゲーションシステム

ひざ関節の傷んでいる部分を人工関節に置き換える手術です。股関節と同じく、痛みの軽減を期待することができます。またO脚のある場合は、手術の中で脚のバランスを調整していくことが可能です。脚のバランスが調整されることで手術後の歩きかたが改善されるケースも少なくありません。またひざを動かせることで筋力も維持され、高齢の方に多い転倒やその後骨折となるリスクを抑えていくことができます。
人工膝関節置換術では適切な位置に人工関節を設置するための技術が増えてきています。その中の1つがポータブルナビゲーションシステムです。これは、骨を切る角度が適切かどうか手術中に知らせてくれるシステムです。以前は、手術中に手術器具を使いながら医師の目で確認して骨を切る角度などを決めていましたが、手術の視野が狭い中でどうしても誤差が生じてしまうケースもありました。ポータブルナビゲーションを使うと、手術前の計画をもとに、計画通りに進んでいるか確認しながら手術を進めることができます。適切な角度で骨を切り、人工関節を設置することは医師にとってはスムーズに手術を進められますし、患者さんにとっても人工関節を長持ちさせるという意味でいいシステムだと感じています。

手術を受けるにあたり知っておくべきことはありますか?

人工股関節(左)と人工膝関節(右)の一例

人工股関節(左)と人工膝関節(右)の一例

手術に対する合併症として感染症があります。感染症とは、人工関節に置き換えた部分に細菌が進入してしまうことで、糖尿病や慢性腎臓病、リウマチなどをお持ちの方はより感染のリスクが高く注意が必要です。これらを合併されている方が人工関節の手術を受けられる際には、他科の先生とも協力しながら、必要に応じて合併している病気の治療を行い、感染リスクを抑えた状態で手術を進めていきます。
あとは深部静脈血栓症(しんぶじょうみゃくけっせんしょう)といって、手術をしたことで下半身の血流が停滞し血管内に血液の塊(血栓)ができることがあります。血栓が肺に到達すると肺塞栓症といって危険ですので、深部静脈血栓症が起きないよう対策をしていくことが必要です。具体的には、血液循環を促すような装置を使ったり、早期にリハビリを開始して脚を踏み込むことで血流を促し血栓ができにくい環境を作るなどがあげられます。


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