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専門医インタビュー

膝の痛みによる悪循環を断ち切りましょう
ご自身の状態を確認するために専門医にご相談ください

武藤 治 先生
  • 武藤 治 先生
  • 医療法人順正会 横浜鶴ヶ峰病院 病院長・理事
  • 045-371-2511

神奈川県

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取得資格:日本整形外科学会整形外科専門医、日本整形外科学会脊椎脊髄病医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター、日本整形外科学会運動器リハビリテーション医

この記事の目次

膝が痛くてもなかなか整形外科への受診をためらっている方が多いようです。しかし、膝の痛みを我慢すると、膝だけでなく、腰や股関節、さらには心の病にも影響が出てくることがあるようです。横浜鶴ヶ峰病院 武藤治先生に膝が痛くなる原因や、術後の痛みの管理が進歩している人工膝関節置換術など様々な治療法などについてお話いただきました。

膝の構造と痛みの原因

膝の構造

膝は、太ももの骨(大腿骨(だいたいこつ))とすねの骨(脛骨(けいこつ))で構成され、骨の表面は柔らかな軟骨で覆われている関節です。大腿骨の先端は2つの丸みを帯びたものに分かれ、それを平らな脛骨で受け止めるという不安定な構造になっていますが、クッションの役割として知られる半月板が2つの骨を受け止め、周りの筋肉や靭帯によって安定性が保たれています。膝関節は複雑な動きができる一方、加齢による半月板の劣化や筋力の低下によって安定性が損なわれると、ぐらつきなど不安定になりやすい関節です。

中高年の方に多い変形性膝関節症について教えてください

正常な膝(左)と炎症の起きた膝(右)

正常な膝(左)と炎症の起きた膝(右)

中高年の方の場合、膝が痛くなる最も多い疾患は、膝に荷重がかかり半月板が損傷し軟骨がすり減り、膝関節の変形が進んでいく変形性膝関節症です。特に高齢女性に多く、肥満の方や肉体労働をされている方にも多く見られます。膝の軟骨がすり減るということを耳にされた方も多いかと思います。しかし、いきなり軟骨がすり減るわけではありません。最初に、加齢性変化による半月板の劣化で膝関節の不安定性が始まり、その後、軟骨がすり減り始め、その摩耗粉によって、関節内で炎症を引き起こし膝に水が溜まったり痛みが出てきたりします。
膝が痛くなる原因は、変形性膝関節症だけでなく様々な原因が考えられます。あまり痛みを我慢せず、遠慮せずに整形外科を受診し、まずは痛みの原因が何なのかを知っていただきたいと思います。

変形性膝関節症の治療法について教えてください

ヒアルロン酸注射

ヒアルロン酸注射

変形性膝関節症の治療は、まずは早期に痛みを取ってあげることが大切です。患者さんの症状に合わせ、湿布や注射、飲み薬などの痛み止めを処方しながら、筋力を強化するトレーニングや日常生活の見直しも行っていただきます。普段の日常生活でも痛みが強い場合は、ヒアルロン酸の関節内注射を行うことがありますが、ヒアルロン酸の関節内注射で十分な効果がみなれない場合は、患者さんが希望されればPRP(多血小板血漿)療法と呼ばれる再生医療を行うことがあります。

日常生活で注意する点や、自宅でできる筋力トレーニングについて教えてください

椅子に座り膝を伸ばしたまま脚を上げた状態を維持する方法で大腿四頭筋のトレーニングを行う

日常生活では、正座や深くしゃがみ込むといった動作は控え、深くしゃがむ必要があれば椅子を使ったりして膝関節に過度な負担がかからないようにしていただきたいと思います。しかし、膝が痛むと身体を動かさなくなり、筋力が落ちることで膝が不安定になり、痛みがさらに増すという負のスパイラルに陥ることがあります。できるだけ膝を安定させるためには、筋力トレーニングが大切です。ところが患者さんの中には「散歩をしているから筋トレはできている」とおっしゃる方がおられます。しかし歩くだけでは、膝を支える筋肉を十分にトレーニングできないのです。
また、中には運動をされていても、膝が痛いので運動を全く止めてしまったという方もおられますが、運動を止めたことで筋力が落ち、痛みが生じることがあります。
筋力トレーニングは、膝を支える太もも前側にある大腿四頭筋(だいたいしとうきん)を鍛えることが特に大切です。
痛みのためにトレーニングができない場合は、膝に負荷がかからないように、椅子に座り膝を伸ばしたまま脚を上げた状態を維持する方法で大腿四頭筋のトレーニングを行います。痛みや筋肉などの状態は、患者さんそれぞれなので、整形外科では、患者さんそれぞれの状態に合わせたトレーニング方法の指導も行っています。


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