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専門医インタビュー

ひざの痛み 我慢しないで整形外科に相談しましょう

この記事の専門医

諸岡 孝俊 先生

兵庫県

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資格・所属学会:日本整形外科学会整形外科専門医、日本整形外科学会認定スポーツ医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター
所属学会:人工関節学会、日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会(JOSKAS)、日本臨床スポーツ医学会など
活動:ガンバ大阪チーフチームドクター、U24サッカー日本代表チームドクター(-2021年)

この記事の目次

どのようなタイミングで手術を考えたほうが良いかアドバイスをお願いします

骨切り術

骨切り術

痛みが治まらず日常生活に支障が出ている場合や趣味の散歩やスポーツができず再開を目指したい場合に、手術が選択されることがあります。ただし、患者さんによって痛みや変形の程度、ご自身がどのような生活を望むのかはさまざまです。大切なのは、一人ひとりの状態に合わせてどのような治療を進めていくのか患者さんと医師がしっかり話し合うことだと思います。手術には大きく骨(こつ)切り術と人工膝関節置換術があります。
骨切り術は、脛骨の一部を切って脚全体の並び(アライメント)を調整する手術です。脚のアライメントが調整されることで膝の内側に集中していた負荷が分散されるようになり、痛みの軽減を期待することができます。変形が軽度な若い方が適応となることが多くあります。また、関節を温存することで手術後も多くの動作に対応することができ、お仕事やスポーツなど活動性の高い生活を望まれる方を中心に選択されています。

人工膝関節置換術はどのような手術ですか?

人工膝関節単顆置換術(左)と人工膝関節全置換術(右)

人工膝関節単顆置換術(左)と
人工膝関節全置換術(右)

関節の傷んだ部分を切除して金属などでできた人工関節に置き換える手術です。変形が強い高齢の方を中心に行われています。痛みの原因となる部分が人工関節に置き換わるため、早期に痛みの軽減を目指すことができます。
人工膝関節置換術には関節の片側だけを人工関節に置き換える単顆置換術と関節全体を人工関節に置き換える全置換術があります。単顆置換術は、変形が片側(主に内側)のみにみられる、前十字靭帯(ぜんじゅうじじんたい)などの靭帯が残っている、曲げ伸ばしできる範囲(可動域)がある程度保たれている場合に選択されることがあります。全置換術よりも傷口が小さく、骨を切る量も少ないので、術後の回復も早いといわれています。一方で、全置換術は変形が重度、可動域が狭い、靭帯が切れてしまっている、肥満などあらゆる条件であっても対応することが可能です。どの手術方法にもメリット・デメリットがありますから、ご自身に合う方法について医師とよく相談の上選択することが大切です。

人工膝関節置換術の進歩した点は何ですか?

術前計画方法と術中の(ポータブル)ナビゲーションシステムです。術前計画は、以前はレントゲン写真をもとに、どのように骨を切って人工関節を挿入するか決められていました。現在では、CTで撮影した画像をコンピューターに取り込むことで、三次元で患者さんの膝の状態を把握することができます。そのデータをもとに、どのような角度でどれくらいの量の骨を切る必要があるのか、人工関節はどのような位置・角度で挿入するのかといったより正確な計画が可能となっています。
ポータブルナビゲーションシステムは、術前計画で決めた骨を切る角度などを手術中に正しく行えているかモニター上で知らせてくれるシステムです。従来の方法では医師の目視ですべて進めていきますが、膝の骨や組織の状態によってはどうしても誤差が生じてしまうこともあります。ポータブルナビゲーションシステムはその誤差をカバーするように誘導してくれるので、より適切な位置に人工関節を設置できる可能性が高まります。そうすることで術後の人工関節の耐久性向上が期待でき、患者さんの満足度にもつながっていくと考えています。

手術は痛いのでしょうか?また合併症のリスクについて教えてください

手術自体は麻酔をかけて行います。また術中に痛みを感じる神経に対して注射を行ったり(神経ブロック注射)、膝関節に複数の薬剤を混ぜたものを注射したり(関節周囲多剤カクテル注射)することで、手術をして翌日くらいまでは痛みをコントロールすることができます。それ以降に生じる痛みについては痛み止めなどで対策します。痛みを軽減できることで、その後スムーズにリハビリに進めることができます。
手術を受けるにあたり感染症や血栓症などの合併症のリスクがありますが、各施設で予防のための対策がされているほか手術方法の確立などによりその頻度は低くなりつつあります。手術にはどのようなメリット・デメリットがあるのかを確認しておくようにしましょう。


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