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専門医インタビュー

変形性膝関節症の症状と人工膝関節置換術 ~手術は本人の意志が最優先、周囲は適切なサポートを~

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福岡県

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日本整形外科学会認定整形外科専門医

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患者さんが手術を決心されるまでには、色々と迷ったり悩んだりされるのでは?

地域の「かかりつけ医」のもとで治療を続けていたものの年齢とともに徐々に悪化し、「保存療法では限界」ということで紹介されて来院される患者さんが多いのですが、人工膝関節置換術について詳細にお話しても、すぐに決断される人ばかりではありません。その後、何回も相談にいらっしゃる人や、中には年に2回~3回定期的に受診し、それを4年~5年繰り返してから、やっと決心される人もいます。しかし、私はそれでいいと思っています。手術にはメリットだけでなく、感染症や血栓症といった合併症のリスクも伴いますし、その後のリハビリも不可欠です。患者さんご本人がそれらを理解し、納得した上で手術に臨まなければ、その後の回復にも影響を与えかねません。逆に、全身状態が良くご本人にやる気があるのであれば、80代でも90代でも手術は十分に可能です。現在、人工膝関節置換術は国内で年間8万件以上実施されていますので、ずいぶん身近な手術になったといえるでしょう。

関節を全て取り除くのではなく、部分的に置き換えることも可能なのですか?

人工膝関節置換術には、膝全体を人工関節に置き換える「全置換術」と、膝関節の損傷している部分だけを人工関節に置き換える「片側置換術(部分置換術)」があります。膝の変形が比較的軽度で、関節軟骨の擦り減りが内側のみで外側の擦り減りが少ない場合には、片側置換術もひとつの選択肢です。ただし、傷んでいるのは膝の内側だけでも、全部を換えなければ具合が悪いというケースもありますので、希望される場合は担当の医師とよく相談してください。膝の可動域やアライメントがある程度保たれているのが最低条件になりますが、全置換に比べ約半分の大きさの人工関節を使用するため、皮膚の切開や骨の切除量が少なくて済み、患者さんの負担は明らかに少なくて済みます。全置換の手術時間は90分程度、片側置換では若干短くなります。入院期間は、全置換も片側置換も約3週間のプログラムを組んでいますが、片側置換の場合は回復も早いため、3週間を待たずに退院される人もいます。

リハビリの主な流れや、特に工夫している点があれば教えてください。

リハビリは手術翌日から始めます。まずは、ベッドの上で膝の曲げ伸ばしをするなど、自分でできる筋力トレーニングを行うように指導します。多くの場合、車イスに乗ってトイレに行くことも可能です。翌々日にはリハビリ室に移動し、患者さんの半数以上が、平行棒や歩行器を使って歩くことができるようになります。
術後1週間以内には歩行器を使った安定した歩行を、2週間以内には杖を使った歩行を目指し、最後の1週間で帰宅後の日常生活が支障なく行えるための日常生活動作訓練を行い、3週間で退院していただくことを目標にしています。

リハビリは患者さん個人の住居環境にあわせて行います

お風呂やトイレなど、自宅の住居環境を事前に聞き取り調査し、患者さん一人ひとりの家庭での動きを想定した、具体的な指導を行うように心がけています。リハビリには、何も工夫をしない限りやはり痛みが伴います。痛みがある状態で無理にリハビリをしても決していい結果は望めません。患者さんがなるべく前向きにリハビリに取り組めるよう、最初は局所麻酔で痛みをコントロールしたり、リハビリ担当の先生方と連携することで、痛くない曲げ伸ばし練習や歩行訓練などを工夫しながら行っています。


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